殴られやすいヤツ 最終稿

コンセルバトリオに行く途中の道で 末っ子のアルバロの同級生アレックスのおかあさんに会う。

あらあら こんにちは
今日 たいへんだったんだってー?

え 何が?

アルパロ君 殴られたんでしょ?
なんか 棒かなんかで すごく強く何度も。
アレックスが ごはん食べながら 興奮して 話してたよ。
すっごい 強く強く殴って 痛かったぞーって。
フランシスコが 殴ったんだって
アルバロ なんにも 言ってなかった?

アルバロは 確かに機嫌が悪かったけど
きっと 疲れてるだけだと思っていた。

夜 帰ってから 訊いてみる。

うんうん 殴られた いーーーっぱい

って すごい 明るく答える。

痛かったよ。 泣いた ちょっとだけね。

先生は知ってる?

知ってる。 怒られてた。 だから このお話は おしまいね。

と あっけらかん。 本人がそう言うなら それでおしまい。

翌々日 お昼ご飯を食べながら アルバロが興奮して話してる。

今日ね フランシスコが アルバロ・モリージャのこと いっぱい 殴ったの。
でね いっぱい 泣いた。
すごい 痛そうだった。

コンセルバトリオに行くと アルバロ・モリージャがおかあさんと一緒にいる。

今日 殴られたんだって? と訊くと

うちの息子と同じ。 おかあさんは 知らなかった。

アルバロ・モリージャもにこにこして 

うん 殴られた。 いーーーーっぱーーーーい。

明るく答える。

おもしろいのは 自分が殴られたことって 特に話題にしないこと。
アルバロ・モリージャのおかあさんも うちの息子が殴られたことは訊いていたけど
自分の息子が殴られたのは知らなかった。
みんな 友だちが殴られるのを見ると なんか すっごい たいへんで
一大事で 家に帰ると話さずにはいられないのかもしれない。
たぶん 心が痛くて。
自分自身が殴られても 体が痛いだけでそのまま終わる。
たぶん。

一人の問題児が 気持ちのはけ口で ちょうどそこにいる子を殴る。
その雰囲気もふくめて
アルバロのクラスは 健全だなと 思う。

そして 殴られてもすぐ忘れてしまうことも。
たぶん 殴ることにそれ以上の意味もなにもないからかもしれない。

そんな雰囲気がいつまでも続くと いいなとおもう。

最近 フランシスコに殴られた? と今日 訊いてみた。

最近 誰のことも殴らないの。
先生が 夕方 補習授業して 勉強がよくわかるようになって
宿題もするようになって 殴らなくなった。

だれかを殴るのは 心の叫びだったりするから
その叫びを聞く人がいれば 気持ちは収まるのかもしれない。
先生は五十才の男の先生。
おとうさんのいない フランシスコは 夕方 先生と過ごす一時間をとても楽しみにしている。
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Commented by toqqum at 2010-01-19 23:18
なんか、ええ話やなぁ。
アルバロ君にホッとします。
このまま、のんびりきれいにまっすぐに大きくなってほしいな。
Commented by euripides at 2010-01-19 23:25 x
<おとうさんのいない フランシスコは 夕方 先生と過ごす一時間をとても楽しみにしている。

この、終わりの一行、とてもいいですね。
殴られた者も痛いが、実は殴った者も痛い。
かつて、師匠の井伏鱒二を待ちぼうけさせたことをなじった檀一雄に「待つ身が辛いか、待たせる身がつらいか」と応えた太宰の心情を思い出してしまいました。
Commented by cazorla at 2010-01-19 23:59
とっくん
末っ子の役割ってところでしょうか。
母親も年取ってくたびれてるから 末っ子はこうあってほしいものね。
Commented by cazorla at 2010-01-20 00:00
euripides さん
ありがとうございます。
おひさしぶりです。 なんかずっと書いてないと どう書いていいかわからなくなって やっと少しずつ 書き始めたところに
ほめていただいてうれしいです。
この エピソード いいですね。
今日の母とのお茶の時間に話題がひとつ できました。
Commented by barrameda at 2010-01-20 00:19
アルバロ、差別が原因じゃなくてよかった。本当に。
スペインでの差別、僕もかなりキツかったです。堪えました。
担任の先生も気持ちを汲んでくれる人でよかったですよね、サンルーカルは僕が聞いた話では良い先生少なかったみたいでした。

下の記事のエンリケの気持ちがすごくわかる気がします(勝手にですが)。
でも彼のその傷は優しさに変わりそうですよね(もう強さがにじみ出てますもんね)。
僕の友人の息子さんは完全に日本人女性がタイプらしいです。サッカーに興味ないなんて珍しいですよね、
近いうちに彼女のブログをご紹介しようと思っています。


あろばスペインでスペインに嫁いだ日本人女性の殆どが一時は鬱になって引き蘢ってるっていうのを読んで辛かった〜

Commented by cazorla at 2010-01-20 00:36
barramedaさん
20年前は 旅人だったからなのかもしれないけど 差別とかなかったような気がするのです。 外国人だから いきなりボンジュールって声かけてきたり・・・。 あの田舎の素朴さが消えて わかったようなわからないような「現代人」的なものになって 差別みたいなものが増えたのかなって。
先生も 若い女の先生は 建前が多くてよい先生は少ないようです。 だから この先生にあたってよかったと。
叱ったりするんだけど 親が怒り狂うのね。 今時の親は。
この先生は怒り狂う親がいても ちゃんと叱る時には叱る。
でも それと同時に時間外に教えたりすることは きちっとしてる。
親としてもそうだけど 叱るのって体力いるし それでも 自分の主張はというか 自分でこれはとても大事なことだと思ってることは 伝えていきたいな と思ってます。

欝になるでしょうねー。
こどもがいると いろんな面で助かります。ほんと。
こどもは光りだもんね。
Commented by antsuan at 2010-01-20 11:17
出る釘は、打たれる覚悟ももっていないとダメなんですねぇー。
カソルラさんのお子さん達は立派だなぁ。

こっちは子どものせいで鬱になりそー。(笑)
Commented by mimizu-1001 at 2010-01-20 12:37
殴った者は痛くない。
相手にすまないと思いながら殴るヤツなんかいない(と思う)。
物理的に拳は痛いけど、その痛みは、なんでおまえの頭こんな固いんだ!ってなふうに転嫁される。
殴った者が痛いと感じるのは、殴ったことをなじられた時。
Commented by otebox at 2010-01-20 22:51 x
いじめが原因の自殺だとか登校拒否だとかが取り沙汰されはじめた四半世紀も前のこと、学校で呼んだどこかの研究者が「いじめは日本に特有の・・・」と語りだした時、『嘘ばっか!』と、彼の話はその後一つも私の心に届かなかった。
だってその頃すでに、私の知っているどこの国でも、そうスペインでも出来すぎる日本系の子どもは飛び級などした日には、ねたみの只中にいた。人の営みのある所には、どこにだってドロドロとした感情がつきまとうものです。
仕返しは限りない拒否の連鎖だけど、受け容れることができるのは達観、立派ですなあ。このテーマの終え方が気に入りました。エールです!
わたしは40年近く現場に居て、子どもたちに寄り添うことを望み続けてきたつもりですが、かく言う教師も一人ひとりバラバラで、管理や競争の攻撃を受け続けているのです。アホな管理職やそのなれのはて教委は、変わり続ける子どもを少しも理解していないのに、激と指示をとばしてさらにややこしくしている。
ゴメン、短文ではまとまらないので終わります。
Commented by cazorla at 2010-01-21 04:34
あんつぁん
わたしが心配しないように という気持ちもあるのだと思います。
差別とかあると わたしがすごい神経質になるから。
それでも 異質であることを生まれた時から運命として背負ってる
ということは マイナスであると同時に 幸運でもあると わかってほしいなと思います。
Commented by cazorla at 2010-01-21 04:37
みみずさん
痛みくらい 客観的にわかんない事実は 少ないなと思います。
自分の息子がお腹いたいって 泣いていても
それでも 痛みは 他人事なんだという事実に。
だから 他人だったらなおさら 殴っても 相手の痛みがわかんない。 殴られたことがないとなおさら。
今は平和教育で 喧嘩なんかしないから 痛みをあたえるリミットがわからないで 殺しちゃう例もありますね。
Commented by cazorla at 2010-01-21 04:39
おてさん
イギリスのいじめは 有名ですね。
日本人のこどもがいじめられてたり
あと ドイツで 母親が日本人で いじめられて 結局
オランダに移住したり。
平等とか理想主義の教育で いじめが陰湿になったような気がします。 建前と現実の違いをこどもはわかってるから。
自分のことばで話せる先生の存在が大事だなと思います。
Commented by rorie_blog at 2010-01-22 11:06
自分の頭でちゃんと道筋を考えて、答えを出すんですね。なかなかできることじゃないです。
格好いい息子さんたちで、羨ましい。

今学校って大変なところになっていそう。ジレンマの塊みたいな職場。
先生には悪いことをしたらきちんと叱ってほしい。そう願っている保護者も多いでしょうにね。

Commented by cazorla at 2010-01-23 00:20
rorieさん
自分が異質であるっていう状態は それなりに 考えることもおおいのでしょうね。
でも はっきりと異質であるほうが 飛び越えるのも簡単なようなきがします。 同じだけど 根本的に違う人っているでしょ?
民族の違いなら だからどうなのって 言えるけど
同じ日本人で なにかがちがうために いじめにあっていたりすると
そこから出て行けなかったり。

一部の親が たぶん一部だと思うけど
先生が叱ると怒り狂って 先生をどやしつけに学校に来たりするから 先生もなかなか 叱らなくなったということもあるでしょうね。
こどもって 実は ある程度の厳しさが好きなんではないかと思う。
だから スポーツのクラブとか好きなのではないかと。
もちろん 個々人の性格をきちんと把握して 対処できる教師であることが第一ですね。
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by cazorla | 2010-01-19 22:56 | 思うこと | Trackback | Comments(14)