人気ブログランキング | 話題のタグを見る

同胞人

二年前の今頃 奥様が日本人という家庭が引っ越してきた。
ある日 歩いていたら 自然食品屋さんのおにいさんに 日本人くるからよろしくって
言われて 住所を教えてくれた。
家は うちからちょっとのところだったので 楽しみに待っていた。
しばらくすると 偶然 道ばたで 彼女と彼女のスペイン人の夫と十ヶ月くらいの男の子に会った。
ちょうど わたしと連絡を取りたいから 張り紙をしようとしているところだって。
張り紙には わたしは日本人です。 友だちになりたいので 電話ください。 というようなことが書いてあって
携帯の番号が書いていた。
ユニークな人だと思った。
二十八才で 旦那様も同じくらい イギリス留学中に知り合って結婚して セビージャに住んでいる。
でも ちょうど 公務員試験を受けるため一年勉強しなくてはならないので その間 ちょっと別のところに住みたいなと 思って カソルラを選んだ。
と かいつまんで 説明してくれた。
だから 一年だけの住む予定で引っ越してきた。
彼のお姉さんがどうせ田舎に住むならと うちの近所の一軒家 典型的な田舎の家を借りてくれたけど
階段があって 子供には危ないので 今は 母のアパートの近所にピソを借りている。

じゃあ 母のアパートで一度 お茶しましょうよ ということになって 別れた。

母のアパートのそばで待ち合わせをして 一緒に 母のところに行った。
二時間くらい セビージャの生活のことなんかを話した。
そんなに話があうタイプではないな と思ったけど とにかく年がずっと若いのだから しょうがない。

それから 母の家にしょっちゅう やって来るようになった。
初めて ひとりで滞在した時 やんわりと 「一緒にお話しできる 共通の話題でもあれば
楽しいんですけどね。」と 言ったらしい。 母はちょっといけずなところがある。
もう きてもらったらかなわんな と思ったらしい。
ところがそういういけずが通じる人ではなかった。

そのあと 本を借りていいですか と訊かれて どうぞ と言うと 一葉の「にごりえ」を借りていったので
母は お若いのに なかなか 文学的素養があると 見直したようだった。
ところが 次に本を持ってきた時 これ かぎかっこが書いてないので 読みにくくて 読めませんでした
と言って 失望させた。

そして 最終的に母が切れたのは 三年前に賞味期限が切れた日本食品を持ってきた時。
三年前製造ではない。 賞味期限が切れているのだ。
セビージャからカソルラまで 持ってくるくらいだから きっと 大切に大切に召し上がってるのかもしれない。
それでも 年上の人に持ってくるとなれば 考えるのが普通じゃないかとおもう。
それも 一昔前なら なかなか 日本食品が手に入らず アフリカに援助で送ったインスタントラーメンがマドリッドのT屋で 二千円だったというような時代ならまだしも 今では なんでも比較的簡単に手に入れようと思えば 手に入る。

母は わたしのこと ゴミ箱みたいにあつかって。 かわいそうなおばあさんだと 思ったのよ きっと。
みじめなかわいそうな老婆だって と 大昔文学少女は とにかく ものごとが 大げさになりがちだ。

とにかく 悪い人ではないのだと思う。
もしかしたら 良い人なのだ。
ただ 空気が読めない。
うちの子供達だって ばあばは 怖い と思っている。
孫であれ とにかく 母は人一倍 わがままなので あまりしょっちゅう来ると不機嫌になる。
アルバロは 母の家ですもうを見るのが好きだが その時は床にきちんと正座して 両手を膝の上にのせた格好で 静かにテレビを見ている。

そして ついにセビージャに帰る日がやって来た。
予定よりずっと早かったのは 旦那様がアルバイトしていたところから 突然 追い出されて
もう ここにいるのがいやになったからだそうだ。
記念に 枯れて 葉っぱが二枚だけ残ったポインセチアの鉢植えをくれた。

セビージャなら たくさん日本人が住んでいるから たくさんお友達もいらっしゃるでしょ
と 言うと いいえ ひとりも。 だって セビージャの日本人って 怖いんです。
怖くない日本人にスペインで会ったのは 初めて。

セビージャに帰って 1年半たったけど どうしてるかな。
Commented by antsuan at 2010-09-03 06:43
そういう空気の読めない日本人が母国にも沢山たくさん増えてしまいました。
Commented by mimizu-1001 at 2010-09-03 18:38
今頃きっと3本指立てて、誰かと誰かの仲介を買って出てるのかも(笑)
Commented by もにか at 2010-09-03 19:45 x
アルバロくんお行儀いいですね。いまどき日本の子どもでも正座なんかしないのに。エライぞ~。「いい人」ほど始末におえないのは、こりゃしゃあないで、かそるらはん。
Commented by つなみ at 2010-09-03 21:51 x
最近の若い人は、考え方が全く違うようで常識が通じない事も多いようです(ってそこまで年とってませんけれど、年代の違いを感じることも多いです 笑)。雰囲気の読めない人って、人の感情や心を全く考えてない、自己中から起こるのかもしれないですね。
やんわりいって分からない人には、はっきり言っても傷つかないと思われます(笑)。
しかし、セヴィリアの日本人の方達は恐いんですか〜(笑)。
どなたかと是非、お知り合いになってみたいです。
Commented by cazorla at 2010-09-04 09:09
あんつぁん
行間を読むって ことばも難しいですよね。
Commented by cazorla at 2010-09-04 09:09
みみずさん
どんな?
Commented by cazorla at 2010-09-04 09:10
もにかさん
これ となりのトトロの影響なんです。
三歳の時は スペイン語でありがとうって言いながら 頭下げてたの。 
Commented by cazorla at 2010-09-04 09:13
つなみさん
もちろん 年代の差だけでもないと思うんですけどね。。。
是非 どこが怖いか くらべっこしてみたいですね。
たぶん わたし 年がかけ離れてたから こわくなかったのかも。。。
Commented by トックン at 2010-09-04 10:32 x
日本人同士でも「日本語が通じにくいなぁ」という人がいます。
それも年齢に関係なく。
その人は若いからだけじゃなく、そういう人種だったのですよ、きっと。
同じ人種同士でお友だちができてるといいですね。
Commented by cazorla at 2010-09-05 07:52
とっくん
わかる。 書いていてもちょっと それは・・・っというやつですね。
あと これ冗談です って あとから言わないと 怒る人ね。
同じ感覚で笑えないとつまんないものね。
名前
URL
削除用パスワード
by cazorla | 2010-09-03 04:26 | しょうもないこと | Comments(10)

あなたに会いたくて・・・・


by cazorla