老いていく 母と そしてわたし
2013年 06月 02日
行くなり ね この洗剤 キャップに三倍ってこの間言ってたけど キャップいっぱいにいれるの?
と 訊いてくる。
でも ママ 私そんな具体的数字は言ってないよ。
わたし自身 たいていの洗剤は少なめを基本に適当に入れてるのに。
目が悪いからよく読んでないのに そんなこと言うわけ無いでしょ
ええ とかいいながら 洗剤のボトルを見る。
ママ どこにも三倍なんて書いてないよ。
すると母は 「でも コップの形の絵が三つ並んでいて・・・」と
一所懸命 ボトルを見るけど そんな絵はどこにもない。
ほかのものだったんじゃないの? ママ。
違う話だったのよ。
変ね と言いながら まだ ボトルを見てる。
母は少し 記憶がずれこんでる。
もうすぐ86才。 スペインに住み始めて七年になる。
一人暮らし。
のんびりと一人暮らし。
「乞食と一人暮らしは一度始めたらやめられない」
と 母は言う。
そんな格言があったなんて知らなかった。
一人暮らしはなかなか素敵です。
私も15年くらい 一人で暮らした。
一人暮らしはすてきです。
でも 時々 ちょっと心配になる。
さくらんぼを持っていく。
母の大好きなさくらんぼ。
今年は雨が多かったから花が散ってさくらんぼが少ないらしいよ と言うと
そう 残念ね でも この間のさくらんぼのほうが大きくておいしかったねー と言う。
ママ このさくらんぼ 今年の初めてのさくらんぼよ
去年にくらべると ちょっと小さめのさくらんぼ
「あら そうなの じゃ あの大きくておいしいさくらんぼは去年のさくらんぼ?」
母は本を読んだり 日本語放送のテレビを見たりして 暮らしている。
もう少し 一緒にいる時間をとって 話をしたりしたほうがいいのだろう。
年をとってこどもを産む。
年をとった母親は 赤ん坊に寛大だから 高齢出産はいいのだと 育良クリニックの先生は言う。
私も高齢でこどもを産んだ。
でも 母の世話と子供達の思春期が重なって そういう意味では ちょっと大変。
わたし自身ホルモンのバランスのくずれつつある時代で 子供達に寛大にはなれない。
三浦さんが八十でエベレストに登った。
末っ子が そんなの嘘だ だって80才の人はそんなことできないもん
と言う。
すると 母は アルバロちゃんは利口ねー。 年をとったらそういうことはできないの ちゃんと知ってるねと
褒め称える。
年を取ってる人を敬うこと大切にすること世話することを 学ばせていくのが私の仕事と母は言う。
そして どうしようもなく 死というもので 別れるときがあることを 教えるのが自分の最後の仕事だと言う。
年を取っていくこと。
今日は 娘と またもやぶつかった。
昔の母たちのように もう少し 年をとっていることをアピールすべきか。
若作りしていても 心は おばあさんだから 粉々になってしまうと
気持ちは もう壊れてしまう。
人間は壊れやすいものだということを やはり知らせるべきか。
私は 母に対しては うざい とは確かに思っていたし 早く一人暮らしをしたいと 思っていたけど
一緒に住んでる時代は ただ ただ 母の言うなりにしていた。
そういうものだと思っていた。
と いうより 彼女を傷つけたくなかったし
彼女は 簡単に 心の傷を肉体に反映する人だった。
だから 傷つかないように 私は自分自身を押さえてきた。
年をとっていくこと。
日曜日はもう少し母と長く一緒にいようと思う。
寒い今年の夏。
母娘の関係、私も同じです。
いずれ行く道・・・お母さんを大切になさってくださいね。
違っていることを指摘すると、その頃は怒っていた。
でも、80歳を超える頃になると、『あら、そう?』と言って、受け止めずに流していた。
カソルラさんのお母様は、80歳を過ぎてから、そちらに渡ったのですね。
私も、娘が海外にいたら、やっぱり傍にいたくて、外国暮らしをすると思う。
娘って、、、、可愛い。
でも、なかなか意見が合わないこともあったなぁ~ ^^)
そう怒るんですよね。だから そうね はいはいって言ったほうがいいのか ちょっと迷うんですけど。 母と娘 似てるところがあるから衝突もあるし 愛してるから 苦しむし・・・。
そして どうしようもなく 死というもので 別れるときがあることを 教えるのが自分の最後の仕事だと言う。
お母様の考え方が胸に響きました。
なんてなんて美しい考え方をしているのかと、
誰にでも必ず訪れる死という瞬間までも自分の役目を考えている方は少ないと思います。
今日は日曜日、ゆっくりと2人の時間を味わってください。
追伸
娘さんの思春期が終わり、互いが自立した女性同士で話せる時が楽しみですね。
年を取って 失っていくもの それをおぎなうことができれば ほんとにうれしい。 その手伝いができる とすれば それはほんとにすばらしい仕事だと思います。 母入れ歯 はずしちゃうと おばあさん顔 でも 入れ歯で 髪をカールして 少しだけ夢を見る。 あら 私のこと老人あつかいしないでって。
母が楽しいのか 幸せなのか わからない。
生きていくということの意味も。
母が一人で 話し相手といえば 私だけの世界で 書くこと 読むことが世界のほとんどをしめていて だからこんなことばが出てくるのかと そこに存在理由を見いだしている。 そうなんだろうな と思います。
お母様を大切に。