広場の住人

昨日 母とシネマパラダイスを見た。 みんなが いい いいとか 泣いた・とか言ってた時は糞と思っていたけど 今は 素直にいい映画だと思う。ただの田舎の映画館の映写機の光が出て行く穴がライオンの立派な口で そういうところが やっぱりイタリアだな と思う。 そして 頭のちょっとおかしい浮浪者がいる広場。 これぞ ヨーロッパの というべきか 南欧のというべきか。 そういうちょっとおかしげな人のいるスペースがある。 そして 彼らをそっと支えている風景。

カソルラにももちろん ちょっと 変わった人たちがいる。

以前 いた ラタ (鼠)と呼ばれていたアル中。

本名は知らない。

鍛冶屋だったそうだ。

かなりアーティストな作品を作っていたので 酔っ払っていても いつも顧客がいた。

酔っ払って しばらく呂律が回らないときも みんな待っていた。

あいつの作るものがいいと。

ちょっとこまったさんなのは 私がひとりで歩いていると

ベジャ デ カソルラ  カソルラの美女

と叫ぶこと。

夫がおもしろがって プリンターにベジャデカソルラとヘッドに出るように設定してしまい 私は知らずに 学校に提出するレポートをプリントアウトしてしまった。

村人たちはケチで 畑でできたものを 私たちには 市場の倍の値段で売りつけようとするくせに ラタには優しくて いつもフルーツをあげていた。

でもとうとう 数年前の冬に凍死した。

寒くて 煽るように飲んでそのまま眠った。

それからしばらくすると 新しい広場の住民がやってきた。

どうやら 広場の定員は一人らしい。

不思議なことに。

そういえば ラタが来る前にも一人酔っ払いがいた。

でも 新しい住民は アル中ではない。

若い時に 母親に閉じ込められて 頭がおかしくなったのだと教えて貰った。

彼はいつもこぎれいにしている。

洗って アイロンをかけた ちゃんとした服を着ている。

村人が せっせと洗濯をして 持ってきてくれるのだそうだ。

ちょっと歩き方が変なのと よく独り言を言ってるだけで

そして 歩きながら すべての人に挨拶する。

それから 忘れてはいけない住人がいた。

ニョニョ。

ニョニョはアントニオの愛称。

トニョと呼ばれる方が普通だけど ちょっとこまったさんの時はニョニョ。

ニョニョは 私がここに住み始めた時は まだ働いていた。

鉄でできた廃物を回収する。

いつも リヤカーを引っ張って歩いていた。

3年前に退職した。

今は なにが入っているか知らないが 大きな袋を担いでいる。

そして 広場にいる。

かれは 寝る家はあるのだと思う。

だれとも それについて話したことがない。

でも いつも 広場にいて だれかをつかまえて 延々と話し続ける。

かなり なまりがひどいので よくわからない。

あれは なまりではなく かれの独特のアクセントだと村人が言う。

とってもふとっていて 顔もまんまるい。


そして みんな 名前がある。

フルネームは知らなくても 一人の個人として 彼らは存在する。


そして いなくなるときに 人々は涙する。

名前があるから そこには 物語がある。

物語のある世界に住む幸せ。

これが 村人の生活です。


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Commented by organicfarmvlc at 2014-10-30 06:00
シネマパラダイス、懐かしいです。あの男の子が可愛くて。。。でも、詳細は覚えていないからまた見る機会があったら広場の人に注目してみます。
うちの村にも昔しは注目される人が数人住んでいましたがいまは亡くなったりどこかへ行ってしまいました。確かに村が彼らを守っていた感じでした。スペインバブルの時に村の周囲のオレンジ畑が切り倒され、住宅が沢山出来て新しい人が村にやってきて。。。人口も増え、若返りを果たしたからよかったけど、私は村との関わりが断然薄くなりました。私を知っているお年寄りたちはドンドン亡くなって、私はまた不思議なアジア人になりました。
Commented by cazorla at 2014-10-30 19:42
organicfarmvicさん

開発されたんですね。 新興住宅って 似たような人が多い。日本もどこの国も。 ちょっとつまんないです。 東京だったら日本橋あたりの あのどうしようもないおっさんたちが好きだったけどそういうのも変わったのでしょうか。 カソルラは最近 急に観光客が増えましたが 村そのものは 運良く 健在です。
Commented by おーやま at 2014-11-05 18:26 x
いい村じゃないですか。
きっと規模がちょうどいい。
大き過ぎると広場の住民と他の住民との間に関係が結ばれないし、小さ過ぎると広場がないし。今の私の村みたいに。

引っ越す前は、広場じゃなくて道の住民がいっぱいいた。
でも犬と小さい空き缶を置いて、商売してるから。
私にとってはちょっと困った存在でした。
毎回前を通れば情がわいて来るし、といって一回あげても
ねえ、毎回通るたびには出せないし。

その線引きが難しくてぎこちない気持ちになってました。
Commented by cazorla at 2014-11-05 19:21
おーやまさん
ぎこちない気持ち
って 娘がよくいうの。 ママは平気なのって。
私 インドに行って 物乞いの子たちに食物もらって暮らしてた。 プロというか そうやって暮らして実は。。。って人もいる。 カソルラ 8000人です。ちょうどいいのでしょうね。 昨日もニョニョに捕まった。 話が長いんだ 彼は。
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by cazorla | 2014-10-29 00:02 | スペイン 文化 言葉 | Trackback | Comments(4)