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息子の旅立ち、孫の旅立ち


エンリケがバダホスに立つ日の朝。
母に挨拶に行った。
母がスペインに住み始めた頃は母よりずっと背が低かったエンリケの胸までしかない母の小ささに時の流れを感じた。

母は大はしゃぎして写真、写真という。
カメラを車に乗せたままにしていたので、エンリケの携帯で写真を撮った。
母は89歳。
朝早くのお出かけなので、ネグリジェのまま。

目頭が熱くなるのを感じた。


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泣き顔を見せるわけにもいかないのでごまかした。
なぜ、泣くと問われても困る。

昔、古典の時間のあれはなんだったけ。
あずまの国の男が京に行く。
あれである。
筒井筒の出る同じ話。

とにかく別れということで涙が出て乾飯がふやけてしまう、そういう話を突然思い出す。
昔の人はもう一度会う可能性が低いことに、涙していたのだろう。

京に行って戻ってくるまでの間、生きていると100パーセント言える人のいない時代。
今だって何が起きるかわからないのだから100パーセントとは言い難いが、
それでも人は10年くらいは大丈夫と自分に言い聞かせ、否、信じ切って人生の計画を立てる。

母は倒れる時はいつも11月の寒くなり始めの頃。

昨年は強く打ってしばらく車椅子を使用していた。
もう歩けるようにはならないだろうと思っていたが、何とか再生した。
5年前倒れた時は、あの時はかなり激しく危なかったが、たまたま私が一緒にいて、
救急車がすぐに来たので助かった。

しかし、いつも可能性と隣り合わせでいる。
だからもしかしたらこれが最後と心の底で疑問符を打つのを知らん顔で写真を撮る。

『エンリケちゃん、クリスマスは帰ってくるね?』

と子供のように母は何度も聞いていた。

楽しいクリスマスになりますように。
心の底から祈っている。

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Commented by mimizu-clone at 2016-09-26 22:58
あの、百人一首に出てくるあれ、、、なんだっけ。
浜辺で松の枝を結んで・・・って歌。
まあ悲しい情景を詠んでるんだから悲しくて当然だけど、僕、あの歌はなんか泣けます。

写真、日本の家屋で写したみたいに見えます。
でも、スペインなんですよね。
それがなんとなく、ちょっと、哀しい。
Commented by antsuan at 2016-09-27 09:36
孫の成長ほど嬉しいものはないでしょう。
お二人の笑顔が素晴らしい。

わたしが三十九才で結婚し嫁を連れてきたとき、一番喜んでくれたのは祖母でした。そして機会があるごとに、祖母はカミサンと一緒の写真を撮らせていたことを思い出しました。
Commented by おーやま at 2016-09-27 18:51 x
どこで うっとこみ上げてくるかって予測不可能。
知らん顔して写真を撮る気持ち、分かるな。

でも素敵なネグリジェだね。体系も服が似合ってる。
昔の武家の家の人みたいにいつ敵が来てもいいように寝る時も
きちんと っていう雰囲気がする。
Commented by anohiwa at 2016-10-02 15:27
どうぞお母さまが元気なうちに 戻って来てね、、、、、と、呟いています。
娘が私の元を離れた時のことを、未だに鮮明に覚えています。
気が付くと涙が出ています。
カソルラさん、、、、、
と言って そっと、あなたの背中をさすっている(つもりの)、、、、私です。
Commented by アンジー at 2016-10-04 00:00 x
☆ こんばんは~☆

お母さまは 89才なのね~ うちの母は うちの息子が中1 の時 亡くなったので こういう写真は 撮れなかったな~ 中学の入学式に行く前に 玄関先で私と 並んだ息子の写真を 写したのは 母だったなぁ… なんてこと思い出しましたよ

ごめんね~ おめでたい門出なのに… きっときっと クリスマスは お母さまを 真ん中に にぎやかに 息子くんは 土産話を 話してるよ (*^o^*)
そうなること 心より 祈ってます!!
Commented by cazorla at 2016-10-04 03:07
> ミミズさん

ああ、なんかうすら覚え。短歌の状況が今頃になるとなんかわかるような気がします。
どこでもきっと人の存在が雰囲気を作るんですよね。
母は時々目が覚めてどこにいるかよくわかんなくなるって言ってました。
Commented by cazorla at 2016-10-04 03:09
> あんつぁん

なんかわかるような気がします。
義弟が彼女連れて来た時も結構嬉しかった。
義弟はずっと年が離れていて22歳下なんです。
違う世代が来る、若い女性がいる。
それってほのぼの嬉しいんですよね。
Commented by cazorla at 2016-10-04 03:12
> おーやまさん

ネグリジェとして売っていたのではなく、いわゆるアッパッパーです。
アッパッパーって知ってる?
ワンピースの楽チン版で洋装の第一弾みたいな感じで日本に入ってきた。
日本で買ったんです。
なかなか母に合う服がなくて〜。スペイン。
私も朝起きて犬を連れて行ける状態のパジャマもどきを着ています。
これはいつ敵が来ても。。。じゃなく単にモノグサ 笑

Commented by cazorla at 2016-10-04 03:14
> anohiwaさん

今のところ元気なんですけどね、予想できないですものね。
部屋に入ってあんまり静かだと『…』って思って大慌てで寝室除きます。

、、、、、感じました。
ありがとう。😀
Commented by cazorla at 2016-10-04 03:17
> アンジーさん

思い出のお話、ありがとう!!
写真ってそう、撮ってもらった時の状況がプラスしてるからいいんですよね。
それにフィルムの時代って今みたいにガシャガシャ撮ってないから一つ一つにちゃんと思い出が染み付いてる、ピンボケであってもそこに色々あって。

クリスマス、楽しみにしてます。
Commented by mamoei at 2016-10-29 09:09
おはようございます☆

ものすごくお久しぶりです。
忘れたことはありませんよ^^

エンリケくん、18歳の旅立ちですね。
美男美女、この言葉がピッタリのお祖母様とお孫さん。
ほっこりしました。

クリスマス、待ち遠しいですね(*^_^*)
Commented by cazorla at 2016-11-06 23:48
マモエさん

ありがとうございます。美女って書かれたって母に教えます。
今週帰ってくるようです。
どうやって帰ってくるのか不明ですが。
楽しみにしております。
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by cazorla | 2016-09-24 23:13 | 思うこと | Trackback | Comments(12)

あなたに会いたくて・・・・


by cazorla