オテロ

今日は母の家でちょっとくつろいでしゃべっていた。
母が言う。
「だけど なんだかいまだに恋してるみたいだから 心配して言うんだけど もし 彼が浮気したらどうするの?」
「離婚の時の財産分担と 子供に関しては もう話し合ってる。」
「そういう事務的なことではなくて その時 あなたやっぱりつらいんじゃないかなって。
だって いまだにすごく好きみたいだし・・・」
なるほど そういうものか。
と 久しぶりに 普通に母親というものと普通の話をしている。

もしも夫が誰かを好きになったとする。
それは 彼の問題であって 私の問題ではない。
かっこをつけてるわけではなく
他を好きになったら それは私の問題ではない。
もしかしたら 私が原因ということはあるけど。
人の気持ちはどうにもならない。
私は 夫がものすごく好きなのである。
どうであれとにかく夫が幸せになってほしい。
そして 愛しているから彼に私の醜い部分は絶対見せたくない。
結婚している人は 他の人を好きになってはいけないか。
いいとか悪いとかではなく 自分の気持ちでさえ コントロールはできない。

そう言った場合は許せるか?
許すとか許さないと言う立場に配偶者はいるのだろうか。
それは契約だから?
許しをこうとすれば 私だ。
たぶん。 その瞬間に憎しみを感じただろうから。

友人の恋人に好きな人ができた。
もうかれこれ三十年以上前の話だ。
神戸の異人館のたくさんある所に彼は住んでいた。
ある日 友人がいくと 彼女がいた。
友人は泣いた。 
恋人は訊いた。
「どうして 泣いてるの? 僕がこんなに幸せなのに」
友人は泣くのをやめた。
こういうことを心の底から言える人もいる。 最高。

その後結婚して 十年前 だから別れて20年後に再会。
もう一度 つきあう。
ずっと 好きだったんだ。 

こういう人とつきあったことがない。残念ながら。
もう少し散文的な男の人が好きなのかもしれない。

十代の時は20代ではもう恋愛なんかしない と思っていた。
でも幾つになっても心はときめく。
めんどうだな と思いつつ。

五十才を過ぎた男があるレストランにはいるとそこて゜八十いくつかのおばあさんの誕生日を家族が祝っている。 そのおばあさんが かれを名前で呼ぶ。 その時 思い出す。 彼女は 彼が二十歳くらいの時つきあっていた人なのだ。
そして 彼らは しばらく二人きりで話し 彼は家まで送っていく。
そして 別れにキスをする。

「あなたは今でも優しい人なのね、ウォーレン。それがわかって嬉しいわ。あなたについて私の考えは間違っていなかった。」
どういえばいいのかわからない。 でも彼女にキスしたいと思う。そしてそうする。

でも 降りしきる雪の中に車を進めていると、 私が手にしているものなんてほとんど何もないみたいに思えてくる。私が老女とのあいだに今しがた交わした優しさのほかになにも。だから私はそのことに心を集中する。

「バーステ゜イ・ストーリーズ」 村上春樹編訳(中央公論新社)の中から 「ムーア人」ラッセル・バンクス

こういう素敵な八十才のバースデイを持ってみたいもんだ。
そのためには・・・
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Commented at 2006-12-04 13:20
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by horaice at 2006-12-04 14:51
cazorlaさんのように ご主人を好きでいられたらいいなと思います☆それだけ好きになれる自分と人に出会いたい:-)*
Commented by fumiyoo at 2006-12-04 15:39
う~ん、何時までもカソルラさんのような“恋”ができたら・・何時までも美しくいられたかなぁ。すっかり遠のいています。そのような感情とは。旦那には悪い気がしておりますが・・でも愛情は火鉢の練炭のごとく・・ですね。年齢は怖い。旦那は来年還暦です。私も2つ下なので、いい歳でしょう?まだまだ熟してないけれど・・・ウフフ・・
Commented by antsuan at 2006-12-04 17:43
ジャニス・イアンの「ウィル・ユー・ダンス」を主題歌にしたテレビドラマ「岸辺のアルバム」をご存知ですか?山田太一脚本の、家族の崩壊を描いた物語です。でも最後は濁流に流される寸前の家から家族の証しであるアルバムだけを取り出して逃げる。家族という単位の絆を大切にするのは農耕民族ならではのことらしいのですが、どうしても欧米の男女の絆を理解することが出来ないのです。やっぱり恋というものを解っていないのかも。
Commented by asake at 2006-12-04 21:42 x
とてもステキな話ですね。こんなにも人を好きになりその人の幸せを第一に思う
これって簡単な事でないはずです。
でもcazorlaさんの優しさはとても透明で何の疑いも無く信じられるいいなぁ~
生前主人に好きだって言われた事はなかった?けれどやはり私が好きだったかな?
母と子の会話にご主人への思いとても癒されました。
Commented by seilonbenkei at 2006-12-04 23:02 x
理屈でことを片付けようとすると、自分の感情の説明に手をやきます。
でも、自分の感情を誰かのに原因があることにしてしまえば、楽なんですよね。
あなたが変われば周りも変わる アーサーホーランド。

ジャニス・イアン懐かしいなぁ。
ラブイズグラインド←じゃ愛は腰振ってじゃん(笑)
ラブイズブラインド。
Commented at 2006-12-05 03:00
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by eaglei at 2006-12-05 05:36
「星の王子さま」に、こんな言葉が書いてあります。

「きみがバラのために費やした時間の分だけ、
 バラはきみにとって大事なんだ。」
「ぼくがバラのために費やした時間の分だけ、
 バラは…。」と星の王子さまは、忘れないために繰り返した。
Commented by nena at 2006-12-05 05:56 x
ヨ-ロッパの人たちの方が恋愛に自由な気がします。特に若い人たちは。。。好きだから付き合って、そうでなかったらさようなら・・・
日本にあるみたいに、もう好きじゃないけどかわいそうだからとかちょっと利害関係あり(あ、これはどこの国でもありますね)そうして付き合っている人は日本にいたとき巷でよく聞きました。
私も異人館の近くに住んでいた友人の彼のように言われたら、納得してしまうと思います。
結婚しても一緒に楽しい時間をする努力は大切ですね。cazorlaさん素敵ですね、このままずっと旦那さんとお幸せに
Commented by cazorla at 2006-12-05 07:32
鍵コメ13:20さん

母は文学少女だったし 母の勧めてくれた小説が 私の恋愛観に影響あたえてるな と思います。
関係って ふしぎなものです。 
結婚して ずっと幸せな相手に出会う っていうのも。
私は晩婚だったんです。 その前に八年つきあった人がいました。
きらいになったわけでもないし ずっと仲良しだったんだけど
結婚はふたりの結論ではなかったんです。
Commented by cazorla at 2006-12-05 07:34
horaiceさん ぴったりあう人にあえてよかったと 思います
大好きだし。 人生の真ん中ラインという年にかなり近かったんですよ!
でも ある程度 色んな人と出会ってからだったから 彼のよさがわかったのかも知れないです。 それに関係も。
Commented by cazorla at 2006-12-05 07:36
ふみよさん とかおっしゃってでも素敵な恋のあとの結婚でしたよね。
そして 今でもすごく好きなんだというのが
ふみよさんの文章でよくわかります。
私も ずっと 夫のことを尊敬して 大事に思っていきたいです。
Commented by cazorla at 2006-12-05 07:40
あんつぁん どこの国でも 子供っぽい人もいます。
おとなになって きちんとした恋愛の果てに結婚した人は やはり
相手を大事に思って 家族を大事にしていくのではないかと
思います。 岸辺のアルバム なんとなく覚えています。八千草薫が出ていた?
再放送になっていたのではないかと・・・
家族 という意味では ほんとうに スペインの家族は絆が深いと思います。
崩壊 ということにならないように努力していると思うのです。
Commented by honn623 at 2006-12-05 07:41
夫婦になると、利害やら共通する記憶やら、ときには相手に対する哀れみやら、いろいろなものの寄せ集めを夫婦愛と世間では呼んでいるのでしょう。でも、cazorlaさんのようにシンプルに関係を築けたら、すてきなことだと思います。
Commented by cazorla at 2006-12-05 07:44
セイロンベンケイさん あなたが変われば周りも変わる 
目の前に起こってることの原因が
もしかしたら 自分にあるかも知れない。
実は えらそうに書いていて 心の底で 自己信頼が異常に高いだけなのかもしれません。 
Commented by cazorla at 2006-12-05 07:49
鍵コメ 3:00さん て いうか 私は妻として 許すとか許さない とかいう立場にない
と思うのですよ。 相手は独立した男だから。
私はただ悲しむだけかな?
私は自分が好き という気持ちが強い のかもしれません。
Commented by cazorla at 2006-12-05 07:50
eagleiさん サンテグジュベリ これを書いていた時 離婚問題でたいへんだったみたいですね。 これは 男の言い訳としては すごく素敵だと思います。
Commented by cazorla at 2006-12-05 07:53
ネナさん ちょうど彼とつきあい始めたとき アメリカの生物学者が 愛は四年の周期だという本を書いてベストセラーになりました。 それに反抗して デズモンド・モリスという 夫と私のお気に入り生物学者が 毎日 細胞がかわるのだから 毎日恋に落ちる努力をすれぱ愛は永遠に続く というのを書きました。
私たち その生体実験中です。
Commented by tdtmk911 at 2006-12-05 14:02
cazorlaさんの記事は美的感覚みたいなところにビンビンくる内容が多いです(笑)。
この記事もとても勉強になります。
「許すとか許さないと言う立場に配偶者はいるのだろうか。」
「どうであれとにかく夫が幸せになってほしい。」
この言葉、とても響きました。
私はまだまだ自分から与えた愛には同じく応えて欲しいと思ってしまうので、はぁ、もっとおおらかででっかい心の人になりたいと思います。
愛情をどんどん発する人になりたいなぁ。

あとね、以前に紹介されていた菅原克巳さんの詩がとても素敵だったので、先日購入しました。楽しみにこれから読みます。
今回紹介されている「バースデイ・ストーリーズ」も知らなかったので早速アマゾンでカーとに入れました。
こんな風にかなり影響をうけているんです(照)。
Commented by horaice at 2006-12-05 15:10
私もtdmk911さんと同じく影響受けてます。「バースディ・ストーリーズ」アマゾンで昨日発注した人です;-)何か読みたいと思っていたところなので、楽しみ☆
デズモンド・モリス~懐かしいです。大学時代、好きだった人が「裸のサル」傾倒していたのですが、そいういうことだったのですね。持っているのにしっかり読んでいませんでした。。今から本棚探して ちゃんと読んでみます。
cazorlaさん 沢山の人に刺激を送っていらっしゃいますね。cazorlaさんの厚みある魅力☆知識的好奇心が尽きない方なのでしょうネ;-) 初めて他の人からトラックバックを受けたのが cazorlaさんで、そのときは誰だろ~?!と驚きましたが、繋げて頂けたことに感謝してます☆常にアンテナ張り巡らせてらっしゃる姿勢、尊敬してます;-)*
Commented by cazorla at 2006-12-06 02:03
tdtmkさん 本 買ったんですか? 好きだといいのですが・・・けっこう独りよがりのところがあるので、私。 
夫が子供達が喧嘩して ひとりがひとりを叩くと
「たたくのは美しくないからしてはいけない」と言って叱った時 なるほどなーと思いました。 善悪は 状況によるし国によるし 宗教にもよるし 美は自分が美しいと思うかどうか ですよね。 口だけで まだまだだめですが
書くことで自分に言い聞かせております。
Commented by cazorla at 2006-12-06 02:09
horaiceさん そうですね 最初 ぶしつけにトラックバックしてしまいました。
トラックパックって 自分の記事の説明に関連ある記事 と思ったら すごくきれいな写真があったので。 まだトラックバックってなんだか理解していなかったのです。
でも その時 なぜか男の人だと思ったの。 写真の撮り方から。
どう説明していいのかわからないけど。

裸のサル→人間動物園→ふれあい で 人間文化か゛どういうふうに人間の社会性に影響をしているか おもしろいです。
デズモンドモリスって絵も描いてます。自伝もなかなかですよ。 
いかにもイギリスのふざけたおっちゃんです。でも 優しい。
Commented by horaice at 2006-12-06 22:55
私~男だと思われてたんですね:-p!でも 確かにそいういうところあるかも;-) 写真から男と思われるって、私どんな人なんだろう~:-)??
そういえば一度 友達の紹介で カラーセラピーというのに行ってみたのですが、そのときに 私は 男と女の性質が半分ずつある人 と言われたのです。オカマかって感じですが・・・jejeje
>人間動物園 なるほど。その彼がやたらsexの章に興奮して語ってたので、不信に思ってましたが そういうことだったんですね。面白そう~モリスさん cazorlaさん なんでも詳しい~☆から楽しいです。色々教えてくださってありがとうございます;-)*
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by cazorla | 2006-12-04 01:33 | おすすめのもの | Trackback | Comments(23)