タグ:思うこと ( 316 ) タグの人気記事

その本は 山積みにされていた。
その時はまだ文庫ではなくて ハードカバーだった。
1982年だったのだろうか。
そう それは山積みにされていた。
83年に読売文学賞受賞とウィッキーに出ているから
そのころかもしれない。 山積みしているのだから。
それは その頃 ベストセラーだったのだろうか。
86年に 文庫になっているから きっとそれ以前のはず。
その本の表紙の女性が 私をいつも呼んでいた。
本屋に入るたびに そう思っていた。
その頃 多分 池袋の西武の本屋か 芳林堂だかで ラテン文学の本を探しに行くと必ず目に入っていた。
買いたいという気持ちもあった。
でも ハードカバーであるから それなりの値段。
それだけ払うのなら ラテンアメリカ文学の本が欲しい。
そういうわけで 結局 雨の木を聴く女たち を買わなかった。

そして すっかり 忘れてしまっていた。

どうしても欲しい本だったわけではない。
ただ 本が私を呼ぶのだ。

本が私に言う。
あなたは 『私』を読むべきなのだと。

1996年 私は母になった。
実は あれだけ本が好きだったにもかかわらず 1992年頃から すっかり本を読まなくなった。
多い時は 日曜日 1日だけで 5冊呼んでいた。
そんな私が 本を読む気力がなくなっていた。
多分 年齢のせいもあったのだろう。
新しい知識にどんな意味があるのか そういう疑問。
30歳を過ぎた独身の女が抱えているもの。
多分 そういうことなんだと思う。
母になった途端 また 本を読みたいという気持ちが溢れてきた。
なんというか 生真面目な言い方をすれば良い母になりたい という気持ち。
いや そういうのでもない。
ただ 赤ん坊の成長は 私を未来に向かわせてくれた。
そういうのでもないか。
授乳の時は 赤ちゃんの顔を見ながらしてくださいと
保健所の方に言われた。
はい はい と返事をしながら 実は授乳しながら 本を読んでいた。
本に対する情熱がまた燃え上がった。
新宿図書館に行っては 5冊しっかり抱え込んで帰ってきて
ただ ひたすら本を読んでいた。
本屋にも 通った。

そして またもや 出会った大江健三郎。
どういう経緯でその本を手に取ったのか覚えていない。
ただ 自然に その本は 私のところにやってきた。
どうしても 読まなくてはならない本として。



大江健三郎と武満徹の対談集である。
私は現在 コンセルバトリーの学生であるのだけれど 全く 音楽に疎くて
『雨の木(レイン・ツリー)』が 武満徹の作品の名前だということを知らなかった。
この本を読んで初めて知ったのです。

この本を 何度読んだだろう。
手に取った数は 百を超える。
ああ あれは どこに書いていたっけ?
そう思いながら ページをめくった。
この本は 私にとって 育児書だった。
長女を育てている時も
長男を育てている時も
何度 この本に助けを求めたことか。
子供というのはオペラだ。
ある時は ソプラノがアリアを歌う。
バリトンが静かにそれに答える。
テノールが叫ぶ。

私はオペラを作っている。
そう思いながら育児をした。
育児は オペラの作曲に似ている。
今 まだ 到底 オペラなんていうレベルではないが (もちろん)
作曲のクラスで ソナタを作っている。
作りながら思う。 やっぱり 子育ては オペラだと。

そう思いながら この本を何度もなんども読んだ。
読みながら 『雨の木を聴く女たち』を読むべきだったと思った。
どうせなら 日本にいる時にそう思うべきだった。
『オペラをつくる』読み始めて 20年目に急に読みたくなったのだ。
それで Tちゃんが 日本から遊びに来る時 何が欲しいか聞かれたので 迷わず
『雨の木を聴く女たち」を頼んだ。

そうだ 読むべき本だったのだ と思った。
不思議な宿命みたいなものを感じる。

それが去年の5月。

夏が過ぎて 9月に息子は高校最後の学年になった。
ピアノを続ける彼は 受験の準備を始めた。
作品は ベートーベンのOP2。 古典主義の作品
ドビュッシーの半音階のためのエチュード
ショパン スケルツォ。

もう一曲が 見つからない。
何にしよう。

先生は 彼のそのまた先生に聞いた。
マルタ サバレッタ。
ラローチャの 第一弟子。
『最後の曲は タケミツのレインツリー』

この時 世界が繋がった。
なぜ 1982年 私は特別に好きだったわけでもない大江健三郎の本に執着したか。
本屋に行くたびに 買いたいという気持ちを抑えなくてはならなかったか。
なぜ あんなに欲しかったのか。

未来はあなたに語りかけて来るのだ いつでも。
ただ 静かに耳をすませば きっと聞こえてくる。
過去 現在 未来とつながっているのではなく
世界は あなたの周りを ゆったりと螺旋状に 動いている。
まるで 世界が 抱きしめたいと思っているように。

e0061699_08362761.jpg

レインツリー
「『雨の樹』というのは、夜なかに驟雨があると、翌日は昼すぎまでその茂りの全体から滴をしたたらせて、雨を降らせるようだから。他の木はすぐ乾いてしまうのに、指の腹くらいの小さい葉をびっしりとつけているので、その葉に水滴をためこんでいられるのよ。頭がいい木でしょう」



[PR]
by cazorla | 2016-05-21 08:39 | 思うこと | Trackback | Comments(23)

選択の自由

スペインという国は 理想主義的色合いが強い国だと思う。
ずいぶん前に フランスで サルコジが大統領に選ばれた時 フランスの新聞記者が
フランスは 基本的に現実的な国民性が強い国だから サルコジは嫌いでもサルコジを選ぶ というようなことを書いていた。
それに比べてかなり夢想的なところがある。
理想は理想でしかないのかもしれないし
スペインの経済が かなり傾いたのも そういうことが背景にあるのかもしれない。
それでも と 思う。
10年前に 書いた記事。

子供たちが 小学校に通っていた時書いたものです。
ダウン症の男の子が一緒に小学校に通っているのを見て なんて素敵なんだろう
そう思って書いた記事です。

ただ 中学に入ると 環境はガラッと変わるらしい。
前回の記事で 娘が 妊娠中に障害のある子だとわかったら 堕すといったのは
中学に入ってから ダウン症の子供に対してのいじめがすごかったから。
あんなにいじめられて それを見守り続けることはできないと。
うちの息子たちも (そして多分娘も、本人は あまり言わないけど) いじめがあったくらいだから。

ある日 食卓で どんな人と結婚したいかって話を 半分冗談で話していた。
その時 夫が 長男に「君は華奢な子が好きだから やっぱり日本人の女の子がいいんじゃないか?」
と言うと 『僕は 日本人とは結婚しない。 だって 生まれてくる子供が チノ(中国人)って言われるから。』
と ボソッと言った。
当時は 中学1年くらい。まだ背が低くていじめられてた。
自分の子供がいじめられるのは 本当に辛い。

娘に言わせれば 私は あんまり現実を知らない理想主義者。
それでも 問題を解決するのが 排除することだったら また違うほころびが出てくる。
私の通ってるコンセルバトリオのあるリナレスには ダウン症のヘススが経営する文房具屋さんがあります。

9年前の記事に 懐かしいマロンママのコメントがあったので引用します。

日本での羊水検査は、どちらかというと産まない選択のために使われている方が多いような気がします。(産むのだったら、他さがしてくださいよというのも聞きます。)
少し前の話なのですが、羊水検査をして、ダウンである確率が高くて、産まないことをあんにすすめられたけれど、結局産むのを選んで、正常児だったという話も(今はもっと正確なのかもしれません。)
「産むのは親のエゴ」とまで言われたそうです。(産んで、どれだけ税金使って世の中に迷惑かけるのっていうことなんでしょうね。)
羊水検査が命の選択の道具になってほしくないです…


生まない自由があるように 生む自由もあるといいな と思います。

ちなみに私もいじめられっ子でした。
その話は そのうちに書きます。
私の時代はそんなにいじめが問題になっていない頃。


e0061699_07203066.jpg
川は 流れが急な方が水が澄んでいる。








[PR]
by cazorla | 2016-05-04 07:46 | 思うこと | Trackback | Comments(0)

花のもとにて

e0061699_07194251.jpg
イチジクの木。
根元に生えてる草。
根元というより 株の上の方 枝が広がって そこに草が生えてる。
そして 花が咲く。

e0061699_07202646.jpg

共存共栄。
これこそが共存共栄。
このことばは ヤクザと政治家とか そういう設定で使っているのを聞いて覚えた言葉。
でも 本当の共存共栄は こういう感じ。
人工的な 場面では 寄せ植えとか。

寄生虫というと 悪いものの代表のよう。
寄生虫のような男とか そういうメタファーで使われる。
でも 寄生虫は 例えば 動物にくっついてるけど 動物を絶対殺さない。
それは 住処だから。
小学生時代 ギョウ虫検査があった。
寄生虫は悪者。
でも寄生虫がいなくなって アトピーが増えたと最近言われるようになった。

共存共栄。

母が 二日前にまた転んで ベッドから 立ち上がれない。

ごめんね
悪いね
死んだほうがいいね
痛くって もう生きて行きたくない

でもね 一緒にいるから お互い 生きていけるんだよ。

e0061699_07205463.jpg

e0061699_07211506.jpg

e0061699_07220283.jpg

e0061699_07225634.jpg

野の花たち。

e0061699_07232428.jpg

よそんちの桜。


今 連休で娘が帰ってきている。
今 20歳。
夜 お茶をしながら しゃべる。

染色体異常の検査について話す。
『私は 検査して 異常があれば もし 障碍児だったら堕す』
と 娘が言う。
『私は 一人目の時は まだ日本だったから しなかった。
高いもの。 60万。
で そこそこ年だったから 可能性のことは考えた。
お医者は 検査しますかって聞いてきた。
パパと話し合った。
もし 障がい児だったらって。
最終的に 障がい児でも生むことになりそうだから 検査はしませんんって。』
『でも 障害のない子が生まれて嬉しかったでしょ?』
『そりゃ そうよ。』
『でしょ? やっぱり 障碍児は嫌なんでしょ?』
『そんなに簡単に決められない。
障碍児が生まれても大丈夫なように ちゃんと勉強して 用意しておいたもの。
それに 生まれた時は まだ わからなかったり 一年して 初めて分かるケースもあるのよ。』
『そうなったら 私は もちろん育てるけど。
やっぱり わかってたら 堕す。
人生無駄にできないもの』
『無駄だとは思わない。
神様は 無駄なものは 作らないと思う。
もし 障害のある子供が生まれたら それは また ある意味を持ってるんだと思う。
人間が ただ 受け入れるだけ。
それ以上のことは 傲慢だと思う。』
『ママっていつから クリスチャンになったの?」

存在理由は ある。
いや 存在理由なんて なくてもいいのかもしれない。
ただ そこにある。
そう いう言い方をすれば 仏教徒。

色とりどりの花が咲く季節。
誰にも見られないまま散る花もある。
でも もちろん 彼らはそれで構わない。
人間のために咲くわけじゃない。


[PR]
by cazorla | 2016-05-02 07:49 | 思うこと | Trackback | Comments(6)

うちの犬のみかんは 去年の夏に来た。
ほぼ一歳の時にうちに来た。
それまではコルドバの娘の家にいたので まだ 田舎生活は 10ヶ月くらい。
まだまだ 若いので 好奇心いっぱい。
先日 初めて 近くで 馬を見た。
馬もみかんを見た。
ちょうど 食事中。
散歩道で 草を食べていた。
一瞬 食べるのをやめて みかんを見たが
(その時 口が ほんの数秒 止まった)
自分に危害を加えない生き物カテゴリーに入れて
また 草を食み始めた。
みかんは 立ち上がった。
二本足で しっかりと。
立ち上がって 馬を見ている。
四つ足。
でも猫ではない。
猫なら 追いかける。
犬でもない。 犬には 三つのカテゴリーがある。
遊べるやつ 退屈なやつ いけ好かないやつ。
そのどれでもない。
一体 こいつは何者だろう。
でかいけど 遊べるのかどうか。
二本足で ずっと 立っているみかんを見て
こうやって 好奇心いっぱいのサルだけが 二本足で歩いて
人間になったのかなーと思った。


e0061699_04460354.jpg

遊べるやつに会えた日はラッキー。

e0061699_04464013.jpg


e0061699_04462464.jpg








[PR]
by cazorla | 2016-04-03 04:47 | カソルラ | Trackback | Comments(4)

帰宅の列車で。

日帰りでマドリッドに行ってきました。
パスポートの更新。
別にどこにも行かなくても 外国人登録の更新にパスポートは必須。
でも そうだ そういえば うちの夫は 日本にいるとき パスポート持ってなくて
旅行に行くとき 急遽 作った。
スペインの場合 作るのはすごく簡単。
ナンバーを確認するだけで すぐ 作ってくれる。
おまけに 1000円くらい。
だから 必要なときに作ればいい。
おまけに 日本国は 外国人登録の更新はかなりゆるい。
ほぼ 自動的。
最初は すんごく 面倒だけど 一旦 受け入れたら とことん親切。
それは 実生活にも反映してますよね。
一旦 友達になったら とことん親切。
特に外国人には。

でもスペインは もう 永住権も持っているのだけど
更新となれば パスポートを提示しなければならない。
おまけに パスポートを作るのも 面倒。
一旦 切れたら もう一度 戸籍を取り寄せたりしないといけないので
どこにも旅行に行かなくても 更新する。
で 高い。
10年前 220ユーロくらい取られて ヒエーーとなった。
先日 母のときは 145ユーロで 嬉しかった。
ユーロと円の関係で値段が変わる。
今回は 114ユーロで さらに 安くなっていた。

遠くに住んでる人には 1日で作ってくれる。
新しいパスポートを受け取って 帰る。
今は セマーナサンタ、いわゆるイースター休暇なので 列車は混んでいる。
お隣は どんな人だろう と ちょっと心配。

ああ デブのオヤジ。

肘を 肘掛に しっかり置いて 脚を組んでいる。
靴の裏が こちらに向けられているので 
気をつけないと 私の脛に当たる。
小さくなって 座る。

デブのオヤジめー と 心の中で悪態を吐く。

しばらく 行くと いきなり目が覚めたオヤジ。
ああ まだ アランフエスか と独り言。
ぐっすり眠っていたのだ。

どこまで行かれるのですか と訊く。
アルカサールデサンフアンです と答える。
じゃあ 起こしてあげますから ゆっくりお眠りなさい と言う。

すると にっこり笑って
デブのオヤジの体から ちょっと美形の青年が出てきた。

本当に。

目が グレイがかった青。
ありがとう と言って にっこり笑った。
青年は 脚をもちろん組まず ひじかけから 腕を外して
少し小さくなって 眠り始めた。


デブのオヤジだって 生まれた時から デブのオヤジだったわけではない。


アルカサールデサンフアンに着くと にっこり笑って 挨拶をして降りて行った。

デブのオヤジの中に隠れた青年。
たまには 奥さんにもそのお顔をお見せなさい。



[PR]
by cazorla | 2016-03-24 21:38 | スペイン 文化 言葉 | Trackback | Comments(12)

男の優しさ

外に出たら 友達が恋人と一緒にいた。
友達 って よく何か共通項があって 友達になったりするけど
スペインでは そうでもない気がする。
ママ友なんてない。
子供が同じクラスだって 別に だからってそのお母さんと付き合ったりしない。
で 私の友人たちは なぜか 子供のいない人が多い。
私自身が母親っぽくないからなのか。
その友人は たまたま近所に住んでる。
つまるところ 近所の人だ。
ここは おばあさんが多いから 一緒に山歩きできるのは 私くらいだから何となく付き合ってるのか。
いや よく 図書館であったり お互いお金がないので
無料のイベント情報を交換したりして 一緒に出かける。
彼女は独身で 幼稚園から付き合ってる恋人がいる。
恋人は 中学の美術の先生。
その友人が 中高の同級生の赤ちゃんを見ていた。
昨日の記事のシングルマザー。
私も近づいて 赤ちゃんを見る。
手がちっちゃ〜〜い。
とか 叫んで笑って 触りまくる。
赤ちゃんって 何で 見てるだけで楽しいんだろ なんて言いながら。
ふと 友達の恋人を見ると 空を見てる。
退屈だーっていうように。
子供なんか 興味ねーよ って感じ。
あ ホセマリアは 子供が好きじゃないのかなーって 一瞬思った。

こういう光景。

男は ただ 手持ち無沙汰に空を見ている。
それは どういう風にでも解釈できるのだけど

それから しばらくして気づいた。
もし 子供を見ていたら
彼は優しい人なので うるうるした瞳で赤子を見てしまうかもしれない。
そうすると 私の友人は 彼は子供が欲しいのかもしれないと思う。

そう 彼は ものすごく優しい人なんだ。
彼らがなぜ 結婚しないのか。
40年も付き合っていて 変わらない関係をずっと 続けているのか。
そういうことは 何も知らない。
彼らはいつもそうやって 一緒にいる。
まるで 地球が生まれる前からのおきまりのように。

40を過ぎて 自分だけの子供を作ると決めた人がいる。
彼女には赤ちゃんがいる。
40を過ぎて 優しい恋人がいる人がいる。
幼稚園の時からずっと付き合っている恋人。
私は 三人の子供達と 理想の夫
そして何と言っても 五十五歳になっても まだ 名前にちゃんをつけて呼んでくれる母がいる。
今 一緒にいてくれる人を 愛してる
そういう共通項で 私たちは 友だちでいられるのだ。


e0061699_04532518.jpg





[PR]
by cazorla | 2016-03-21 04:53 | 思うこと | Trackback | Comments(8)

オレンジのケーキを作って 母の家に行く。
このオレンジケーキは 皮ごと丸ごと入れるので ちょっと苦味のある大人の味。
道の途中で ニラの花に似た花を摘む。
これは セボジータ 小さな玉ねぎと人々が呼んでる。

e0061699_00500537.jpg

実家に庭には ニラが植えてありました。


e0061699_00501755.jpg

番茶も買った。
箱いっぱいに番茶が入ってるんだと思い
わっ ヤスーーーイ と思ったら
ティーバックで 10個入り。
番茶のティバックって うーーーんと思ったけど
その前に買った ティバッグではない 茎茶が
これ 茎茶とは呼ばないでしょ というような
茎茶だったけど これは そこそこ番茶の味がする。


e0061699_00503477.jpg

母が 生きていてもしょうがない と言う。
生きがい何て言葉があるけど
人間の人生なんて どれもこれも しょうがないといえば しょうがない 
そういうものでしかない。
生きていてもしょうがない って 口に出してしまうのは
やっぱり 生きていたいと そう思ってるからだと
そういう風に思って聞き流す。

それでもやっぱり ちょっと 私もしんどくなって
今日は コンセルバトリオ お休みして家に一人残りました。


[PR]
by cazorla | 2016-03-16 01:04 | 思うこと | Trackback | Comments(24)

痛み

ニュージーランドの近くの小さな島には 人の痛みが自分の痛みとして感じられる人々が住んでるんだそうです。
昔は そういう種類の人が あちらこちらにいっぱいいて 
人が殴られるのを見ると痛いって感じてたんだけど
そういう種類の人はなかなか こういう世界では生きられなくて 絶滅してしまったらしい。
でも 同じ人間だから 若干どこかに遺伝子が残っていて たまに生まれてくる。
娘の同級生が そうで 人が食べてると つい口がもぐもぐ動く。
美味しいも感じる。 
楽しいことも。
ただ 痛い とか 悲しいも感じるから 辛い。
実は 私もそこまでではないけど 痛いを 若干感じる。
だから サスペンスが 見られない。
人が刺されると 痛くて 息ができない。
首を絞められると 息ができない。
子供達が 喧嘩をして 誰かが 誰かを殴ると
台所で 痛みに身悶えする母親が いる。
子供達は それを私の演技だと 最初は思っていた。
喧嘩しないための。
いや そうじゃないの。
痛いんだって。
本当に。
だから 喧嘩をするときは ほぼ口論で殴りたいときは 私の不在を確かめる。
確かめる間に 喧嘩の原因がなんだったか 忘れて どうでもよくなることもある。

実は これは きょうたちゃんの記事 douleur ドゥルー/ 痛み にコメントとして書いていたら
あまりにも長いので 自分の記事にしてしまった。

人の痛みをわかる人になりましょう なんて 小学校の時 習ったけど
現実的には 人の痛みなんて わからないし
いちいちわかっていたら 痛くってしょうがない。
それでも できることなら 誰かの痛みを少なくする方法があればいいな と思う。

生まれてくる痛みと
産む痛みは どっちが大きいのだろう。
母のこの体に私がいた時のことを思うと泣けてくる。
天気が良いので 母をお風呂に入れました。


e0061699_22490469.jpg

日本から持ってきたろうそく。
日本のろうそくは 芯の長さとロウの量がきちんと計算されて
後に何も残らない 世界で唯一の ろうそくなのだそうです。


[PR]
by cazorla | 2016-03-13 22:52 | 思うこと | Trackback(1) | Comments(6)

オレオレ詐欺

オレオレ詐欺にあったお母様の記事を読んだ。
リンクは貼り付けません。
密かにやってるブログだそうなので。
で うちの両親もオレオレ詐欺的なものにあったなと ふと 思い出した。

スペインに引っ越したのは 2000年。
マドリッド郊外のアルカラデエナレス。
セルバンテスの家のある街。
飛行機に乗るのは このカソルラに住んでからより 
はるかに簡単なのだけど
住み始めて 1ヶ月で 妊娠してしまい 高齢のため
体調不良
妊娠中毒症にもなって 末っ子誕生後も一年間 帰国できなかった。
つまり 二年間 ほったらかし状態。
今から 15年前。
父も生きていて 母は73歳くらい。
まだまだ しっかりしていると安心していた時。

久々に末っ子を連れて帰ったら
かなりやつれている。

実はね 

と母。

父の隠し子事件。
ある日 ある女性から電話があった。
『〇〇さん(父の名前。 フルネームで)いらっしゃいますか?』
『はい どちら様でしょう』
『娘です。』

ここで母は 明治の祖母に育てられたから 取り乱してはいけない と思った。

『あら こんにちは。 初めまして。』

と言ったそうな。 普通言うか? そんなこと。

私より 15歳近く上の女性。
だから 母と結婚するずいぶん前。
ある 飲み屋さんの女の人とそういう関係になってできちゃった と言う話。
そういうことがあったから まあ 否定はできないけど なんで今更 って普通 思いますよね。
男性なら いつでも 可能性を引きずって生きてるけれども。

でも母は 世間知らずの能天気だから
新しいお友達ができたみたいなワクワク感で

『じゃあ 一度 遊びにいらっしゃいな』

と言ったそうな。

それからが大変。
認知して 今まで払われなかった 養育費を払って欲しいという話に。

被害者は父。
『僕の子供って気がしないんだけど。。。』とボソボソ言う。
そりゃ まあ 50年以上前の話が ここで具体化されたら 誰でもそう思う。
裁判所に何度も行く羽目になり 検事さんに叱られて。

当時でも すでに 60に近い女性が 今更ながら認知を求めるっておかしいですよね。
普通なら 結婚前とか。
その人のお母さんが 本当に 父とそういう関係だったか?
実は 同僚だったかもしれない。

『あの 三回だけ』 と また 父がボソボソ言う。
そういうこと聞いてないんですけど。

そのあと 父は 血管が詰まって血が頭に行かないので認知症的な状態になり
手術しました。
手術は一応成功したんだけど いろいろあって亡くなりました。
母の誕生日に。

大変だったね、 パパ。

最終的には 私は DNA鑑定をしましょう と言ったら
そのまま立ち消えになった。

母になんで 電話があった時 拒絶しなかったの ってきいたら
私がずっと帰らないし 誰か遊びに来たら楽しいかなって思った
と まるで小さな子供のようなことを言う。
だから 世の中って 詐欺師がいっぱいいるんだなーって思いました。



[PR]
by cazorla | 2016-03-10 20:31 | 思い出 | Trackback | Comments(12)

外国人の母親として

中学は 午後三時に終わる。
コンセルバトリオは 4時に始まる。
100キロメートル以上離れたコンセルバトリオに週二回通っている。
息子たちは 大変だ。
空いた時間に図書館に行って 宿題をする。
夫が大抵 図書館にいる。
わからないところを聞く。
大急ぎで コンセルバトリオに戻る時 末っ子は
よく 教科書を父親に預ける。
時々 父親は その教科書を自分のリュックにしまう。
そのまま 仕事に行く。
朝 末っ子は 本がないので学校にいけないと言う。
ネガティブがついてしまうという。
じゃあ ママが お手紙を書いてあげましょうという。
手紙に すべての事情を説明して 息子に渡す。
じっと手紙を見て 外国人のお手紙みたい と言う。
そうだ 私は外国人だから しょうがない。
間違ったところがあったら 訂正してよ。
間違ってるってわけじゃないけど つまり その
と 息子は言いにくそうに言う。
正しいけど スペイン人だったら こんな言い方しないな てそんな感じ、
だから 訂正のしようがないよ と言う。
つまるところ 外国人が日本語を話す時に 馬鹿丁寧で面白かったりする あれですね。

ふと 思い出す光景がある。
30年以上前のこと。
だから まだ 私が スペイン人と結婚するなんて 思ってもみなかった頃のこと。
ある 駅のプラットフォーム。
待合室みたいな グリーンハウスのような ガラス張り小部屋があった。
多分 どこかの新幹線のホーム。
そこに親子連れがいた。
まだ 二十歳代だったので 親子連れがどんな話をしているのか興味もなかった。
突然 父親と二人の息子が何か言って立ち上がって ガラス張りの小部屋から出て行った。
母親らしき女性が 怒鳴った。
『バカ バカ お前らの方が よっぽどバカ』
泣いていた。
そして そのイントネーションから 外国人だとわかった。
中国人か韓国人。
もしかしたら ベトナム人かもしれないし わからない。
本当に悔しそうだった。
多分 彼らの常識は 彼女の常識ではなかった。
でも だいたい いつもそうやって 父親にしっかり息子は くっついていて
母親に対するリスペイクトはないのだろうと 想像できた。
それは とても悲しい光景だった。
言葉が不自由で バカ バカ と言い返すしかない女性。
30年以上経っているから もう かなりの年配になっているはず。
その後 幸せに暮らしているのだろうか。
ことばができないと 知能もそのことばのレベルくらいと思いがち。
想像力がないと そういうことは多い。
うちの夫だって 日本語で話すと ただのおもろいおっさんになる。
だからって 黙っていたら やっぱり 分かり合えない。
変な言葉でも どんどん話してると 意外なところで 意外な人と同じ趣味で 意気投合したりする。
カンディンスキーが好きな人と この村で出会った。
彼は彼で カンディンスキーの話ができるなんて 思ってもみなかったと言った。

もし 日本に住んでるあなたの周りで 日本語を少しだけ話せる外国人がいたとしたら
ゆっくり 辛抱強く 話を聞いてあげてください。
意外と面白い話が聞けるかもしれない。
意外と好みが一緒かもしれない。

e0061699_861033.jpg

e0061699_864812.jpg

ちょっと懐かしい写真です。



[PR]
by cazorla | 2016-03-06 22:36 | スペイン 文化 言葉 | Trackback | Comments(19)