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父さんが小さかったとき 知り合えたらよかったのにな

子供は横向きになって、父親がドアのところに行って、電灯のスイッチに手をやるのを見ていた。それから言った。「ねえ 父さん、こんなこと言ったら僕の頭がおかしいと思うだろうけど、僕は父さんが小さかったときに知りあえたらよかったのになあって思うんだよ。ちょうど今の僕と同じくらいの歳の父さんにさ。でも うまく言えないんだけどさ、そう考えるとすごく寂しくなるんだ。なんていうか―そう考えただけで、もうそれだけで父さんを失ってしまったような気がするんだ。そういうのって変な考えかたたせよね?でも、ドアは閉めないでおいてね、おねがい。」
 ハミルトンはドアを開けっ放しにしておいた。それからふと思いなおして、半開きにした


レイモンド・カーパー 短編集「頼むから静かにしてくれ Ⅱ」の「自転車と筋肉と煙草」の最後の部分。

なんでだろ これを読んだ
この部分をよんで 涙がぽろぽろこぼれてしまった。
こういう感情ってだれもがある瞬間
ある世代
ある成長の過程で なんとなく 持ってしまうものなのかもしれない。
それに対する郷愁。
そして これは たぶん 親に対してだけでもなく 子供に対しても
こんなに具体的な感じではなく なんとなく 持ってしまうのかもしれない。

今日 コンセルバトリーで 室内楽の先生 ヨランダと話した。
彼女の息子くん 十二歳 と 一緒に オーケストラのクラスに行ってる。
マリアの入学試験の時の試験管でもあった。
今日は 母親同士って感じで話した。

子供って ある時 ふっと 部屋を出て行ってしまうのよね。
友達とか 自分の世界 恋人
でも いつか 戻ってきてくれるのよ いつか。

そうだ たぶん だから涙が出てしまったんだ。

もう少し マリアが小さいとき マリアは もっと 私といたがった。
でも わたしは いろいろ忙しく 弟たちも小さいし なんやかんやで 相手をしてやれなかった。
ママってぱー と 何度 彼女は叫んだことだろう。
あのときは たぶん 子供の時のわたしと知り合ってもっと遊びたいと感じていたのかもしれない。
ふと 気づくと 彼女は この部屋から出て行っていた。
そして 今は わたしが 彼女の歳になって 彼女と知り合ってみたいと 実は
密かに 切望しているのかもしれない。

母とわたしは 今は とても たいせつな関係を築いている。
たぶん この連鎖 せつないようなこの連鎖
そして 母とわたしの関係は いったいいつまで 存在しうるのか
そう思う切なさ。
連鎖の切なさ。

もっと 昔から続く 祖母と母 そして その前 ずっと前
普遍的な親子関係の歴史

いつまでもいつまでも続いていく
やわらかい掌のあたたかさ。

頼むから静かにしてくれ〈2〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

レイモンド カーヴァー / 中央公論新社


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Commented by antsuan at 2012-01-21 09:22
母と娘はせつなさを共有出来るけれども、父と息子は残念ながらそれが出来ません。父と息子の絆って何なのでしょうね。
Commented by cazorla at 2012-01-22 01:50
あんつぁん
父親と息子って もっと つながってるような気がします。 誇りみたいなもの。 自分の中にずっと あって ある時 その存在の重さに驚くような・・
Commented by Haruki at 2012-01-30 08:22 x
Cazorlaさん、お久しぶりです。
日記を再開されていたんですね。嬉しいです☆

さて、今回の日記、私も自分の娘(まだ1歳ですが)を考えてしみじみと読んでしまいました。
私も日々の仕事や家事で忙しくて、娘に思ったように時間を割いていないように思うことがしばしばです。
かと言って、時間を思いきり取っても、決して十分になることはないんでしょうけど。

私は23歳の時に母を亡くしましたが、生きたいように生きている私を見て、きっと母はこういう気持ちを抱いたんだろうなぁ・・・と、ちょっと感じました。
当時の私は自分の人生に一生懸命で、まだ母の気持ちの深い所まで気づくことができなかったので、今になって感じるものが色々ありますね。
Commented by cazorla at 2012-02-01 21:14
Harukiさん
こんにちは 
二歳十ヶ月で 二人目が生まれたんです。
それまで わたしは 彼女ひとりのママだったのに
なんかショックだったようです。
一時期 わたしを拒否していた時代もあるんですが
今は なんとなく和解して
なんと昨日は一緒に寝たがったので
一緒のベッドで寝ました。 十六でも なんとなく甘えたい時があるんだなって うれしかったけど ちょっとつかれた。 なんせ わたしよりでかいですから。
同姓の親子って やっぱり 一生を通じて きっといいなと思うことが何度もあるんでしょうね。 できるだけ 彼女の成長を見ていって そして 歳をとってゆったりした時間をもてたらいいなと思います。
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by cazorla | 2012-01-19 06:59 | お気に入りのもの | Trackback | Comments(4)