最近、なぜだかこの記事がベストテン入りしていることが多い。
多分、私が考えるのはネット世界でもポリコレになってジプシーという言葉を使わなくなったので、検索すると使っているこの記事に行き当たってしまうのではないでしょうか?
知らないうちに『ジプシー』という言葉が禁止用語になっていた。
差別用語だそうで、差別についてはこちらのスペインのジプシーたちにも書いているけど。
日本でジプシーが差別用語で禁止されているっていうのはなんだか変な話だと思う。
なぜ?と思って調べるとアメリカ合衆国で禁止になったのが皮切り。
なぜアメリカ合衆国?と思って調べると、ロマ(今ジプシーのことはロマと呼ばなくてはならない)が一番多く住んでいるのはアメリカ合衆国。
スペインはフラメンコなどジプシー文化がスペインの文化の代表的な部分を(少なくとも世界的に知られる文化のうち、大半を)占めているからスペインに多いのかと思ってたらスペイン以外にも多い。
ヨーロッパ
アルバニア: 1300〜120 000
ドイツ: 85 000〜120 000
オーストリア: 15 000-20 000
ベラルーシー: 15 000
ベルギー: 10 000-15 000
ボスニア・ヘルツェゴビナ:17 000
ブルガリア 370 908 ( 2001年の統計)
チェコ: 12 000〜300 000
クロアチア: 14 000
デンマーク: 2500-4500
スロバキア: 92 500
スペイン: 650 000〜1 500 000
フランス: 200 000-300 000
フィンランド: 5500-80002
ギリシャ: 140 000-200 000
ハンガリー: 190 046
アイルランド: 20 000-27 000
イタリア: 85 000-120 000
レトニア: 8205
リトアニア: 2571
ルクセンブルグ: 200-500
オランダ: 30 000-40 000
ポーランド: 15 000–50 000 est.15
ポルトガルl: 40 00016
イギリス: 90 000-225 000
北マケドニア: 53 879
ルーマニア: 535 140
ロシア: 183 000
セルビア: 108 193
スエーデン: 15 000-20 000
トルコ: 2-5 millones
ラテンアメリカ
アルゼンチン: 300 000
ブラジル: 1 000 000
コロンビア: 2 649
チリ: 20 000
エクアドル: 1000
メキシコ: 15.850
ウルグアイ: 400
ベネズエラ: 5000
北米
カナダ: 80 000
アメリカ合衆国: 1 000 000
アジア
アフガニスタン: 13 000
数字がスペインのように幅があるのは、もちろんわざわざ出生届に人種を書いたりしないから。
よく、ロマを説明するのに「国籍のない人たち」というのを見かけるけど、国籍はちゃんとあります。
スペインはヒターノって呼ばれるけど、最近はルーマニアから出稼ぎで来ているロマが増えて来た。
差別用語の話に戻ります。
スペイン語でヒターノ gitano
フランス語でジタン gitan
英語でジプシー gypsy
と並べるとわかるけどどれも語源は同じ。どこから来たのかわからなかったけど方角的にいって多分エジプトあたりから来たのだろうと解釈してこう呼ばれるようになった。
意味はエジプトから来た人。
差別用語として特定されて各国では(日本まで)ロマと呼ばれるようになって、フランス語でも英語でもジプシー、ジタンが使えなくなった。
それでスペインでもヒターノをやめてロマにしようという話になって(そしてもちろん政治家はロマという言葉を使っている)禁止にする動きが出た。
その時に、ヒターノたちが「ロマなんて呼ばれたらルーマニアから来たヒターノみたいでやだ」と。
そういうわけでスペインでは相変わらず「ヒターノ」つまりジプシーという言葉が健在です。
昔、岩波ホールで上映されていた「ジプシーの時」は良い映画だった。ジプシーキングもいたし、なんだかジプシーが差別用語になったのは残念だと思う。
ジプシーと呼んでも呼ばなくても、差別はあるかもしれないし、ないかもしれない。
ドイツ語の「ツィゴイナー(Zigeuner)」はどうなんだろう。禁止用語になってツィゴイネルワイゼンが別の呼び名になっているのだろうか。