スペインのジプシー達
2006年 09月 12日
かれらはヒターノ つまりジプシーだ。
長男のクラスはみんな素朴なお百姓さんが多いせいか ほのぼのとした良い雰囲気のクラスでいじめとか 仲間はずれもない。 このジプシーの女の子も良く溶け込んで遊んでいる。
お母さんとも時々話す。 学校のことでよくわからないこと 連絡事項が伝わってない時なんかに 私が知らせてあげる。 だからかな・・・
私を見たら 夫に 「私の アミーガ(お友達)」と言っている。
すると 夫のほうも「ああ 知ってる。 知ってる。 彼女の旦那はとってもいい人だ。 時々 道で 車に乗せてもらってる。 この人の旦那くらい いい人はいない。」と 大きな声で言ってくださった。 ジプシーに 褒めてもらうというのはなかなか 光栄なことだ。
ジプシーの存在というのは 日本人にはちょっとわかりづらいと思う。
母は 賤民のこと と訊くが そうではない。
差別されているが 差別しているのも彼らである。
ヒターノ(ジプシー)にとってこの世界は 先ず頂点に ヒターノ その下にパジョとよばれる ヒターノ以外のスペイン人 その下に ヨーロッパ人などアーリア系 そして底辺に アフリカ・アラブ・そしてアジア人がいる。
友人のドイツ人のお嬢さんは学校でジプシーにさんざんいじめられていた。 モロッコ人なんてもっとだ。 だから うちなんていじめられる要素は充分ある。 一度 この家族の大きい方の女の子にうちの長女がいじめられたことがあって それをこのお母さんに話すと 夫に話してくれた。 まあ それはいいのだが・・・
おとうさんが 娘をぼうでたたきながら 中国人でも韓国人でも 一応 人間なんだから たたいちゃだめだ と叱っていた。 それ以降 いじめられなくなったから まあ いいんだけどね。 でも ジプシーで 「韓国人」もカテゴリーに入れてるというのはなかなかインテリかも。
都会に住んでるヒターノは 一般にドラッグを売ったり 盗んだり あまりいいイメージはない。でもカソルラに住んでるヒターノは ちゃんと 市の仕事で道や公園の掃除をしている。 中には馬を六十頭も所持している金持ちヒターノもいる。 ヒターノはまた不動産の仲介もしている。 うちの家もヒターノから買った。 たまに騙されることもあるので要注意だが すぐに売りたい訳ありの人がヒターノに頼むので 比較的安い。
ヒターノ(ジプシー)といえば黒髪で褐色の肌ですぐわかる と言う人もいるが そう言うわかりやすいヒターノは だいたい物乞いを職業にして わかりやすくヒターノのかっこうをしているだけで実はなかなか見分けるのがむずかしい。 一度なんて マドリッドの三越でジプシーの女の子が働いていたが たぶん三越の人は知らないで雇ったのではないかと思う。
こんな感じ。 彼女は ナヤと言う名だが ヒターナであることがすごく誇らしい。スペイン人はすぐに区別がつくらしいが 私は未だによくわからなかったりする。それでも以前よりはよくわかる。 でも 洋服の着方がちょっと違う と思いながら アーティストかしら と内心思っていると 夫に ばか あれはヒターナ(ジプシーの女性形)だ といわれたりします。 びっくりするくらいきれいな人は ヒターナが多いかも。
ブラソ・デ・ヒターノ ジプシーの腕というケーキがある。 褐色のロールケーキだ。 最近はチョコレートのロールケーキが この名前で呼ばれることが多いが 本当は卵を多く入れるとちょっと焦げやすいので 卵のたくさん入ったタイプのスポンジのロールケーキを ブラソ・デ・ヒターノと呼ぶ。 考えてみれば チョコレートではちょっと黒すぎですよね。 この名前はけっして差別でもなんでもなく 修道院でもこの名前はつかわれます。
フランスに マドモアゼルの腕 という 白いロールケーキがあるが それと比べると発想がずいぶん違うと思いませんか。 マドモアゼルの腕と ジプシーの腕。 この違いが フランス文化とスペイン文化の差なのだと思う。
ところで、クラスの雰囲気によって全然、学習能力の差がかわってくるって義理の姉が話していました。彼女の下の娘はクラス全体がみんな競争心の塊で何をやってもハキがあって早いんだそう。反対に2歳上の男の子のクラスはのんびりのほほんで先生がいつも大声だしてみんなをせかせていないと何も始まらないっていっていました。
確かに下の子はおしゃべりも彼女の兄弟の中でピカ一です。でもそれは女の子だからなのかな?
「私はヒッピーなの」と話す女の子が以前留学していたオビエドにいましたが、確かに格好も周りとは少し違う感じでした。その子の両親も放浪の生活をしていて。他のヒターノ?の子達と露店で店番していたり。。。とはいえ性格がすごく面白くて優しいし、たくさんの友達に囲まれていました。ヒターノかヒッピーか。。。その区別すら、まだ私の中で曖昧です。。。
私は流浪の民というものに憧れと美を感じます。流浪の民のプライドというのは一流だと思います。一流だからこそ流浪しながら民を保っていられるのだと。私自身が流浪の人生を歩んできたので、そして精神的には今もやはり流浪の民なので、自分を一流と思いたいのかもしれません。
ジプシーというと、ギター小僧である私はフラメンコを想うのですが、フラメンコはユダヤの哀歌であり、またモサラベでもあると言われているそうですね。ジプシーとキリスト教信仰(マリア信仰)は結びつきが深いと何かで(いつも何かばかり)読んだ覚えが。
ますます素敵な生活になりそうで、お話を読ませて頂くのが楽しみです。
ヒターノの見分け方、何となく私も分かります。服装と目つきで分かるような…
肌が浅黒くて金髪碧眼のすごい美女もいますよね。思わず見とれてしまいます。
彼らの生活や内部の構造?などアンタッチャブルなのは分かっていますが
とーっても興味があります。
グラナダに行く途中の岩をくりぬいたお家の中、一度見てみたいです。
それにしても、15世紀末の逗留許可が未だに機能しているのですね。
サラマンカのジプシーだったら、そんなの知ったこっちゃない!
なんか文句あるのか?って喧嘩うられます。
(旦那さんの仕事上確認済み。非を認めません)
でも素敵な人は本当に素敵だからそのギャップが・・・(苦笑)
ジプシーの女の子って美人過ぎて頭くらくらしますわ。
でも結婚して子供生んだら本当におあばさんになっちゃうからもったいないなぁ。
それにしてもロールケーキの名前おもしろい!知らなかったです。
ジプシーも差別しているって事がへぇ〜って思います。逆の感情があるのはわかりますね。でも私のようによく知らない人が見た感じで判断しているんじゃないかな?と思ってしまいます。
写真のお姉さん、唇が厚くてセクシーですね。こういう人がヒターナなんですか?う〜〜ん、わからない…。
ロールケーキ美味しそう!!名前の由来が凄く納得です。フランスのマドモアゼルって名前に多少の差別、いや区別を感じるのは私だけでしょうか?
リンクありがとうございました。
スペインでの生活、
海外での生活はとても憧れますが、
実際はいろいろとご苦労もあるのでしょうね。
リアルに伝わりとても参考になりました。
また、ちょくちょく覗かせていただきます。
ロールケーキ、美味しそうですね。
私は、お菓子や缶などのパッケージ好きなので
海外旅行に行くと帰りのスーツケースがやばい事になります。
(>_<)♪
でも、ネイディブの犯罪率は高く、ホームレスになる確率も高くて問題になっています。差別もやはりありますし、難しい問題です。
それから、ネイティブの場合は、文化や言語を維持するのが非常に難しくなっていて、それも本当に残念な事です。
でも、それぞれの文化や言語に誇りを持って生きるって、とても大事な事ですよね。誇りを持ちつつ周囲との調和も気にして生きる。簡単な様で難しい事です。
パジョは その人の育った環境とか興味の対象とかでもちがいますが 全般に良い感情を持っていると思います。 ロボットの記事とかよく新聞に載りますから 未来都市から来た人 とか思ってるみたいですよ。
現在ではヒターノも流浪せず 一所に落ち着いている人が多いようですが やはり心は流浪しているのでしょうか セイロンベンケイさんのように。
先日 車が突然飛び出してきたヒターノの女の子をひいたのですが スピードも出していなかったので 女の子は軽傷ですみました。ところが 彼女の家族は怒って 銃弾を六発。 ほんと ちょっとこわいです。いきなり ヒターノの家族同士で喧嘩しはじめると流れ弾にあたったり・・・・。
その点 カソルラのヒターノはみんな 普通に生活しているので安心ですが。
マドモアゼルの白い腕って 考えようによってはちょっと嫌らしい感じもしなくもないですね。
初めてスペインに来たとき ビールの缶 かわいいから持って行きなさいと 飲みおわった缶をいただいたことがあります。 あの缶もけっこう邪魔になったなーー旅行中。
友人の友人がジプシーで、パーティーで一緒だったときに、お母さんがロシア人で、あまりに美しかったので、ジプシーにさらわれてジプシーとして育ったのだという話をしておりました。
だから青い目のジプシーもいるのかしら。。。?
ブルガリアでレストランで音楽を奏でていた友人の仲間がジプシーでしたが、ヴァイオリンの弓の持ち方がジプシー独特の持ち方でした。
でも、本当に音楽やダンスが上手な民族ですよね。持って生まれた何かがあるのですよね。
ジプシーが誇りを持っていて、自分達で他の民族に差別をしているのって、本当にありますよね。
黒海にジプシーレストランがあって、毎晩、プログラムがありましたが、本当にすばらしい歌と演奏と踊りでした。
ヴァイオリンの弓の持ち方も ジプシー独特とかあるんですね。黒沼ユリ子さんのエッセイでメキシコで子供達が独特の持ち方をしていると書いていましたが それぞれの地域で 持ち方がかわってくるのでしょうね。
そういえばギターもちがいますね。 スエーデンにもジプシーがいるのは想像していませんでした。 興味深いお話しをどうもありがとうございました。
さて、ヨーロッパ全体のジプシー(ロマ)の人たちについての本を数冊読んだことがあるのですが、スペインのヒターノの人たちっていうのは、また独特なのですね。
ロマの人たちっていうのは、歴史的には、東欧あたりでは中世ころには奴隷として大人数単位・大家族単位で売り買いされていたみたいです。大きな修道院への奉納として、等々。また、結婚はもともと略奪婚が基本だそうで、それから、物事の内側は清浄、外側は不浄という考えがあるので、家の中はきれいでも外側はゴミだらけだったり、体の外側を自分でなめるネコというのはもっとも不浄な動物とされていたり(逆に清浄な動物は馬だそうです)、といったようなことが書かれていました。
今は、住んでいる国や適応の歴史によって、社会への適応の仕方や生業は大きく異なるようですね。
自分たちの国を持てない(あるは持とうとしない)人たちの在り方をどうすべきか、というのは、近代の国家システムの中では、解決の難しい問題ですね。
グラナダに住んでいたとき、八百屋さんで働いているヒターノと話したことがあります。「俺がパジョと同じ仕事してるって仲間が笑うんだ。ヒターノらしく生きてる訳じゃないし恥ずかしいと思うことがあるよ。」と言っていたのが今でもすごく印象的なんです。定住するようになったとはいえ、頑なに彼らの伝統/慣習の中で生きている彼等... 諸問題もありますけど、彼らの「眼差し」になんとなーく惹かれます。
ブラソ・デ・ヒターノ、メキシコで初めて食べたんです。でも、褐色クリームではなく白クリームのロール・ケーキです、笑。
最後の「ロールケーキに見るフランスとスペインの違い」、ナルホドと思いました。
その上の写真の女性を見て思い出したんだけど、ある時マドリッドの市民プールで見かけた2人の若い女の子、肌も白く、可愛いビキニを着て普通のスペイン人みたいなんだけど、「もしかして彼女たち、ヒターナ?」って思わせる何かがあった。何なんだろう? 目線? 唇? 何か態度全体から発散するような雰囲気とか??
ちょうど日本からスペイン語のブラッシュアップに来ていた友達と一緒だったのですが、彼女は私がそう言っても「(違いが)分からない」と言ってました。
音楽も ルーマニアとかだと アコーディオンを主に使ったり やはりそれぞれの国の音楽と勇退して発展しているんですね。 フラメンコも 私の住んでいる所の近くにリナーレスと言うところがあるのですが そこはミナ・デ・カントという 鉱山で働くヒターノの唄で哀愁があって有名だそうです。また 素敵なお話しお待ちしていますね。