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キリスト教と魚

これは 2つ前の記事 バルセロの礼拝堂の追記としてお読みください。

原始キリスト教とでも訳すのでしょうか? Paleocristianismo 英語だと early cristianismだったと思います。 
ローマの最初の世紀では まだキリスト教は許されていませんでした。
キリストの教えは すこし危険な感じがしたのです。
十字架をつけると 一目でキリスト教徒とわかるので 魚がシンボルとして使われていました。
魚であれば 言い訳もできますし。 まるで隠れキリシタン。
今でも このようなものが売られています。
キリスト教と魚_e0061699_8293437.jpg

原始キリスト教の世界ではキリストは漁師でした。
そして 魚は 人々の魂のシンボル。
キリスト教と魚_e0061699_8295210.jpg

これは 原始キリスト教アートの一番代表的な魚の絵。 たいていのスペインの歴史や美術の教科書に 掲載されています。

その他の 原始キリスト教アートは こちらのページでご覧になれます。
http://cefirelda.infoville.net/

魚は ギリシャ語で ΙΧΘΥΣ (Ichthus)
Ι   イエス
Χ   キリスト
Θ   神
Υ   息子
Σ   救い主

 さかなは イエス・キリスト 神の子 救世主 の意味になります。
そして それぞれのギリシア文字が 上記のシンボルとして 使われていました。

そして もう一つ 魚といえば 聖書のなかの 五つのパンと二匹の魚。
We have here but five loaves and two fishes.
スペイン語では Multiplicación de los panes y de los peces パンと魚のかけ算, 直訳だと。 最初 この話になった時 なんの話? と思いました。

するとイエスは彼らに言われた。
「パンはどれぐらいありますか。行って見て来なさい。」
彼らは確かめて言った。「五つです。それと魚が二匹です。」

するとイエスは、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて祝福を求め、
パンを裂き、人々に配るように弟子たちに与えられた。また、二匹の魚もみなに分けられた。
人々はみな、食べて満腹した。

パンを食べたのは、男が五千人であった。

(マルコ 6:38,41,42,44)
キリスト教と魚_e0061699_8434873.jpg

これは 5世紀のモザイク画です。
この時代のへたくそなキリストアートって好きです。

シュタイナー教育では 幼稚園時代 文字を教えません。
だから 幼稚園では 持ち物にそれぞれの子供のシンボルになるものを刺繍します。
それを読んで 私は 娘の持ち物に魚をつけました。
なぜ 魚 と思ったのか わかりません。
キリストについて 興味を持って調べるようになったのはスペインに住み始めてからですから 当時はまだ 魚がなんのシンボルかもわかりませんでした。
でも やっぱり 彼女は魚だったんだなって 今ではわかります。
キリスト教徒になろうとなるまいと。

私は 性格が軽いしちゃらんぽらんなので よく失敗します。
そして 罪悪感に囚われると狂ったように泳ぎます。
泳いで泳いで 疲れ果てるまで 泳ぎます。
そうすることで 魚になろうとしているのです。
魚は faith  信(絶対的意味で) のシンボル。

ちなみに友達が カナダの空港で いきなりユダヤ人のおっちゃんに 「君は faithを持っているか」と聞かれて 「顔なら持ってるよ」と答えてしまった。 (笑)

追記 horaiceさんのドアを開けると・・・そこは、魚が泳ぐ青の空間。 - St. Stephen Kirche -もあわせてご覧ください。 すてきなシャガールのステンドグラスのカテドラルです。
Commented by transitroom at 2007-02-18 11:29
ほ~(゜o゜) 魚がシンボルだったとは。
”魚民(うおたみ)”ですねっ...て、それじゃ飲み屋さんじゃん(爆)

たしかにfaith(顔)なら、皆もってますよねぇ~(笑)
Commented by もにか at 2007-02-18 12:02 x
こどものころ、子供むけのやさしい聖書物語を読んでて「イエスさまはパン屋さんになればよかったのに」と思ったけなあ。元手いらずでがっぽりもうかるwばかな子供でした。
Commented by akikonoda at 2007-02-18 12:29
ユングは、20世紀のシンボルとして魚の時代であると感じていたらしいです。確かに、キリスト教的思想を敷衍した世紀でしたが。
Commented by peque-es at 2007-02-18 13:09
心理学的には、魚、そして水の中にあるものは、意識化にある自分、無意識のシンボルなんですよね。私、古代の化石と言われてるシーラカンスのような魚の夢をみた事あるんだけど…(笑)

十字架の替わりに魚が使われたとは知りませんでした。原始キリスト教って、色々興味深いですよね。輪廻転生の概念もあったと言うし…中世に邪教として排除されてしまったものの中に、本来のキリスト教の教えを伝えるものが、結構あったんでしょうね。

でもそうやって排除しても、色んなところに、姿を変えて残ってる…人間の本質って、そう変わるもんじゃなくて、無意識から無意識へと、伝わって行くのかも…

下の記事ですが、ほんと、日本人は若くても体力ない感じします(笑)。男も女も体の厚みが違うもん。それに日本の高齢化社会、なんとなく暗くて淋しい感じがします。私も老後に備えて、もう少し体鍛えなくっちゃ…(汗)
Commented by maron415 at 2007-02-18 15:14
人間は、昔々お魚だったということかしら?
キリストは漁師…海に近いのかなあと思ったり…
でもね、お魚といえば、やっぱり食べものを連想してしまいます。
Commented by cazorla at 2007-02-18 15:48
トランジットルームさん 昔は海のそばに生活してた人多かったでしょうね。
魚民~ね。
thの音の聞き分けってむずかしいですよね。
でも 意味が・・・
Commented by cazorla at 2007-02-18 15:50
もにかさん 子供時代に聖書の物語を読む よい子だったんですねっ?(笑
たしかに子供なら そう考えるかも ね。
Commented by cazorla at 2007-02-18 15:51
あきこさん なるほど。 そうだったんですね。
では 21世紀は なにの世紀になるのでしょうか。 興味深いですね。
Commented by cazorla at 2007-02-18 15:56
ペケさん 原始仏教同様 興味深いと思います。
田舎のカトリックって やっぱり 日本の宗教に似ているし。
大分の神社って 仏教的なものも含まれていたり 壁にあざやかな地獄絵が描かれていたり すごくおもしろいです。
カトリックも 色んな聖人を祭る事で 基本的に多神教だと思うのですよね。
で 人工的に多神教的なところを排除していった先にプロテスタントがあるのですが
それが必ずしも人間の本質にあっているかどうかは疑問です。
多神教的な宗教って 実は すごく自然な事なのではないか と思います。

で 新キリスト教の中にはキリストを排除したいというものもある。
でも 此処で矛盾がでてきます。 キリストを排除したら キリスト教ではなくなる。(笑
ユダヤ教 キリスト教 イスラム教 って 実はわずかな違いしかないのではないかと思います。 
Commented by cazorla at 2007-02-18 15:58
マロンママさん キリストが漁師て゛あったり 羊飼いであったり。
羊飼いの方の話。 だから アウグスの日というのがあるのですがこれは ラテン語で羊。 これがアグネスと発音されるようになります。
アグネスって羊ちゃんだったんだなーって。 この間 アグネス・チャンの話 したでしょ?
Commented by seilonbenkei at 2007-02-18 17:19 x
私も1番目の写真の魚マークのシールを車に貼ってます。正確には、車を譲ってくれた宣教師さんが貼ってたのをそのままにしてあるだけですが、どこかの釣りクラブのステッカーと勘違いする人もけっこう多いですね。
「釣りされるんですか?」ってよくきかれるから、「なんで?」って言うとシールを指さされます。人間を釣るんですって答えたい(笑)

僕的にはキリストとイエスは一緒じゃないんですけど、話が異端になるからやめときます(笑)
Commented by cazorla at 2007-02-18 20:10
セイロンベンケイさん >人間を釣るんですって答えたい(笑)
女 ではなく?(笑)
この派生かどうか スペイン語で 魚は バカという意味もあるんです。
わたしってさかなねーっ Estoy pez. ちょっと反省をこめて言ってみたり。
ちなみに つぼみ カプージョも ばか って言う意味。
つぼみだからね 花開く前は なーんにも知らないの。

一緒じゃない・・て 是非聞きたいのですが。
異端児ですから(私が) 気が向いたらお話しくださいまし。
Commented by naolicu at 2007-02-18 20:34
いつも興味深い話題をありがとうございます。こちらは東方正教会なので、イコンがシンボルなのですが、この5世紀のモザイク画のタッチがそっくりです。東西に分裂したのは11世紀頃ですから、共通点があるんですね。
Commented by cazorla at 2007-02-18 20:57
naolicuさん ルーマニアって カトリックではないのですね。
いや 無知でした。ブルガリアは知っていましたが。
はっきり 認識していませんでした。
宗教のおもしろいのは そのシンボルとか教会 寺院の美術がどう変わっていくかをみることですね。
Commented by りろ at 2007-02-19 03:51 x
akikonodaさん。20世紀が魚の時代というのは、星座(魚座)から来ているのですよ。キリスト教とは関係ありません。むしろ、ローマ神話から取られたものですね、星座の名前は。
あのモザイクは、ビザンチン様式ですよね。モザイクという表現法自体も。だから、東方教会系だと思います。カトリックは、ロマネスクを経てゴチックへと行くわけですし。
ローマ時代に殉教したキリスト教徒は多いですね。当時、ローマの神々を信じないというのは、おそろしく反社会的で不道徳なことと思われたようで。キスリト教は、「きょうだいたちはたがいにせっぷんし合いなさい」という教えのせいで、ワイセツな宗教と思われたり、ご聖体をいただくことが誤解されて「赤ん坊を食べている」と思われたりしていたらしいです。
それで、潔白を証明するために、みずからの手で断種したキリスト教徒もいたみたいです。すごいですよね。
Commented by りろ at 2007-02-19 03:54 x
それと、当時、キリスト教徒たちは、お互いの秘密のサインとして、砂の上につま先で魚のかたちを描いて、お互いを確認した後、すぐに足で砂をならして消したりしていたようです。「山」「川」という合い言葉みたいなものでしょうかね。
Commented by ぺけ at 2007-02-19 12:17 x
プロテスタント-新教って、どこか不自然な感じがあるんですが…宗教とか信仰って元々理性ではないと思うのです。…なのに、それを理性的に説明しようとしてるような…でも宗教だから、やっぱりファナティックだったりして…

ローマ近郊のカタコンベを見学に行った時、原始キリスト教徒たちが作った地下道の途中で、英語圏の旅行者グループが賛美歌を歌い始めて…なんかスゴイ違和感を覚えました。…彼らは「初期キリスト教徒の苦難」をしのんで歌ってたんでしょうが、なんかその人たちの想像してるような宗教ではなかったんじゃないかと…こっちは「クオ・バ・ディス」の世界を想像して行ってたわけだし…(笑)。
Commented at 2007-02-19 16:11
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by horaice at 2007-02-19 22:02
cazorlaさん~偶然にも同じ時期にお魚の話をしていたのですね。
シンボルのこと、私の中途半端な知識では書けなかったので控えていましたが、参考にさせて頂きました。とても勉強になりました。cazorlaさんの記事と繋げるために、私のほうの題を少し変えてみました。この記事を読んで、追記もしています。TBさせて頂きますネ☆
Commented by cazorla at 2007-02-20 00:11
りろさん ありがとう。 最後の話 まるで隠密みたいで すごい。
当時は 邪宗みたいな感じだったんですね。
この間ちょっと 邪宗とそうではない宗教ってなにがちがうんだろう って考えてたんですよ。 だって 新しいのが出たばかりのときは やっぱり えって感じで受けとられるでしょ? やっぱり ベクトルが未来をむいてることかなって。
欲のない宗教団体もあるけど 過去をむいていてはだめですね。
Commented by cazorla at 2007-02-20 00:16
ペケさん 解釈しすぎると 他者排斥に行ってしまうっていうのがいやなんですよね。
カトリックの雰囲気って だれっーとしてるでしょ?
あんまり勉強して りっぱな信仰心もとうなんて思ってほしくないな と思っちゃうんですよね。 一応 カトリックです て 答える人たちが やっぱり気が合うかなー。

英語圏って やっぱり アメリカ人?(笑
でも 地下がまだそうやって残ってるんですね。
Commented by cazorla at 2007-02-20 00:17
horaiceさん リンクありがとうございます。
こちらからもリンクさせていただきます。

シャガールのカテドラル 私も行きたいです。
Commented by cazorla at 2007-02-20 02:32
鍵コメさん  あとで伺います。
Commented by Pfgia at 2007-02-20 08:20 x
息子の洗礼式のお祝いにと、上の写真にあるペンダントを頂きました。
「どうして魚なのか?!」ってすごく疑問だったんですけど、ここで解決しました、笑。
子供の持ち物にシンボルをつけるって素敵なアイディアだなって思います、私もやろっかな。
Commented by ぺけ at 2007-02-20 23:50 x
カタコンベって、幾つか残ってるらしいけど、私が行ったのは確かサン・カリストとかいう名前で、ローマから路線バスで1時間くらいの所だったか…
未だ全貌は分かっていなくって、専属のガイド付きでないと入れません。中で迷ったら戻って来られない可能性がある、という事で…ガイドさんが案内してくれるルートは決まっていて明かりもついてるんですが。

路線バスは一部、ローマ時代の旧街道を走って行くんです。でカタコンベの近くにはクオ・バ・ディス教会があった筈なんだけど、歩くと結構遠くて、誰も歩いてないし(笑)、辺りは薄暗くなって来るし、帰りのバスも心配で、行くのを断念しました。そしたら路線バスが中々来なくて、もうローマに帰れないんじゃないかと…ちょっと焦った(笑)。
Commented by cazorla at 2007-02-21 04:00
pfgiaさん シンボルをつけておくと 本人もそのものに愛着を持つようです。
3歳児のクラスって 最初 それぞれのイメージで 小さな絵を洋服かけにはってるんだけど うちの末っ子はなぜか ライオンでした。クラスで一番チビですが。
Commented by cazorla at 2007-02-21 04:02
ペケさん ローマっていろんなところがあるのでしょうね。
私も行ってみたい。 バルセロナから船が出ていてそれが 安いらしいのでいつか・・・と思ってます。

もう帰れないかも・・って ローマ界隈でも感じてしまう そういうのがいいんですよねー。
 東京だったら 郊外に行っても基本的にかえれちゃいますもんね。
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by cazorla | 2007-02-18 09:02 | スペイン 文化 言葉 | Comments(27)

あなたに会いたくて・・・・


by cazorla