世の中には詐欺をする人たちがいる。
大昔、森繁久彌氏が主役で赤サギというテレビドラマがあった。
結婚詐欺の話で、夢を売る仕事だと主役が言う。
それに近いのが最近流行っているロマンス詐欺。
先日72歳の人が逮捕されていた。
外科医とかになりすましてネット上で知り合った女性から合計1億円だまし取ったというニュースだった。
会ったこともない人に100万単位のお金を渡すほど気持ちの良いチャットでの会話ができるのは、21世紀のシラノドベルジュラックと言ってもいいかも。
小説家になったら成功したかも。
本気で騙されるわけではないけど、寂しい時はなんとなく騙される方向に気持ちが行ってしまうのかもしれない。
先日 この記事で書いたようにうちの両親も私がスペインに移住して寂しい思いをしていた時期に詐欺師のようなよく分からない事件に巻き込まれた。
父の隠し子と称する女性が現れたのだ。
私より20歳近く年上の女性だった。
私が生まれたのは父が37歳の時。
ってことは17歳。
電話がかかってきて母が話した。
「お金とか認知とかそう言う要求はしません。ただお父さんと呼んでみたいのです」と彼女は言ったそうだ。
母はとても気の毒に思って、お父さんって呼びたいだけならいいじゃないかと。
全く母は能天気なのだ。
そして食事をしに両親のいる家にやってきた。
父はそんな覚えないしと言ったんだけど(当たり前だ)、母は単純な人だから(純真とも言う)60歳になるまで父親を探してた可哀想な人を助けてあげたいと思ったようだ。
普通じゃ考えられないと思う。なんか書いててうちの母はバカなんじゃないかと思われるかもと、ちょっと今困ってます。
母は基本的に周りの価値観に左右されない強い意志を持っている人で、けっしてばかではないの。ただ、人の悪意があまりわかってない。
一緒に食事をしたって言う事実を証拠として裁判ということになった。
認知をしてほしいと。
裁判所に行って「そういう覚えはない」といっても食事をしたという事実で裁判官は女性の味方。
反対にお説教されてしまった。
私が2年振りに帰省した時は、二人とも信じられないくらい(特に母が)歳をとっていて驚いた。
多分父の状態が悪くなったのも70を過ぎて裁判所に何度も行かなくてはいけなかったことが原因だったかも。
母はやっぱり寂しかったのだ。
娘という60歳の女性が時々遊びにきて一緒にご飯を食べたり、お話をしたりしたら楽しいような気がしたと後で言っていた。
世の中に悪い人がいるっていうことをあまりよく分からないまま年をとったのかもしれない。
そして一人娘がずっと遠くになってしまって寂しかったんだろうね。
だからコロナで帰国できない状態になっている人たちのご両親が心配。
うちの母みたいに何にも分からないまま年をとってしまう人は少ないと思うけど。